80スープラのRZとRZ-Sの違い、あなたは正確に説明できますか?
生産終了から長い年月が経った今でも、その輝きが色褪せないJZA80型スープラ。「いつかは…」と中古車市場で探し始めた方も多いのではないでしょうか。
しかし、購入を具体的に考え始めると、多くの人が同じツインターボエンジンを積む「RZ」と「RZ-S」という2つのグレードの違いに突き当たります。「見た目はそっくりなのに、何が違うの?」「どっちを選べば後悔しないの?」そんな疑問を持つのは当然です。
この記事では、あなたのそんな疑問に答えるため、専門用語を極力使わずに2つのグレードの違いを徹底比較。あなたのカーライフに本当にフィットする一台を見つけるお手伝いをします。
この記事を読めば、以下の4つのポイントが明確になります。
- 一目でわかる!RZとRZ-Sのスペック比較
- 走りの性能と維持費を左右する決定的な違い
- 結局どっちを選ぶべき?あなたに合うグレードの選び方
- 購入前に知っておきたい、80スープラ共通の注意点
80スープラのrzとrz-sの違い
80スープラのRZとRZ-Sの最も大きな違いは、**RZがサーキット走行も視野に入れた「即戦力」**の足回りと6MT専用である一方、**RZ-SはATも選べる柔軟性と装備を簡素化し、カスタムベースや街乗りに適した「選択肢の広さ」**を持つ点です。エンジンは同じ2JZ-GTEツインターボですが、ブレーキやサスペンションなどの標準装備に明確な差が設けられています。
この違いを理解するために、まずは一覧表で全体像をつかんでみましょう。ここでは、年式による細かな仕様差をなくすため、最終期モデル(2001年9月~2002年7月)を基準に比較しています。
項目 | RZ | RZ-S |
エンジン | 2JZ-GTE(ツインターボ) | 同一 |
変速機 | 6MT専用 | 6MT または 4AT |
ブレーキ | 大径(4P/2P)標準 | 小径(2P/1P)標準 ※OPで大径可 |
サスペンション | ビルシュタイン製 標準 | 通常ショック 標準 |
ホイール/タイヤ | 17インチ 標準 | 16インチ 標準 ※OPで17インチ可 |
LSD | 標準装備 | 6MTは標準/4ATはオプション |
シート | RECARO 標準(後期) | RECARO設定なし |
車両重量(目安) | 約1510kg | 約1490–1500kg |
新車時価格(税抜) | 約448万円 | 約388万円(6MT)/約365万円(AT) |
▼中古車選びで知っておきたいこと
RZ-SのAT車を検討する場合、走り好きなら「LSD(リミテッドスリップデフ)」が装着されているかを確認するのがおすすめです。LSDはカーブなどでタイヤの空転を防ぎ、車を安定して前に進めるための重要なパーツ。RZ-SのAT車ではオプション設定だったため、付いている個体と付いていない個体が存在します。
▼維持費に直結するポイント
RZの魅力である大径ブレーキと17インチタイヤは、高い走行性能を発揮する一方で、タイヤやブレーキパッドといった消耗品の交換コストがRZ-Sの標準仕様より高くなる傾向があります。どちらのグレードを選ぶか考える際は、こうした維持費の違いも少し頭に入れておくと、購入後のカーライフがより具体的になるかもしれませんね。
80スープラのrzとrz-sの違い:主要3ポイント
80スープラのRZとRZ-Sの違いを理解する上で特に重要なポイントは、①走りの性能を決定づける足回り・ブレーキの標準装備、②タイヤやパッドといった維持費に関わる消耗品の違い、そして③ATも選べるRZ-Sの柔軟性と約60万円の新車時価格差です。この3点を押さえることで、どちらが自分の乗り方に合っているかが見えてきますよ。
▼ポイント①:「走りの骨格」が違う
RZは、まさに「走るため」の装備が標準で揃っています。
- ブレーキ:大きくてパワフルな「大径4P/2Pブレーキ」
- サスペンション:ドイツの名門「ビルシュタイン製ショックアブソーバー」
- トランスミッション:操作を楽しむ「6速マニュアル」専用
- LSD:安定したコーナリングを支える「トルセンLSD」
これに対しRZ-Sは、同じパワフルなエンジンを積みながらも、装備は少しマイルド。ブレーキは「小径2P/1P」が標準で、サスペンションも通常タイプです。しかし、ATが選べるため、街乗りや長距離ドライブを快適に楽しみたい方には嬉しい選択肢となります。
▼ポイント②:「装備と維持費」の関係
RZの17インチタイヤと大径ブレーキは、高いグリップ力と制動力を生み出しますが、交換時の費用は16インチ仕様のRZ-Sに比べて高くなる傾向があります。
- RZ:高性能な分、タイヤやブレーキパッドの価格も高め。サーキット走行などでは消耗も早くなる可能性があります。
- RZ-S:標準の16インチ仕様は、消耗品のコストを抑えやすいのがメリット。もちろん、後から17インチや大径ブレーキにカスタムすることも可能です。
▼ポイント③:「価格と選択肢」の柔軟性
最終期の新車価格を見ると、RZが約448万円だったのに対し、RZ-Sは約388万円(6MT)と、約60万円もの差がありました。この価格差は、RZに標準装備されている高性能パーツ代と考えることもできます。RZ-Sは初期費用を抑え、浮いた予算で自分好みのホイールや車高調にカスタムしていく、という楽しみ方ができる「ベース車」としての魅力も持っています。
▼なぜ、これほど明確な差が?
車選択メモの視点では、これはメーカーの巧みな戦略だったと考えられます。RZを「トヨタが誇るトップスポーツモデル」として性能を追求するユーザー向けに設定し、一方でRZ-Sを「スープラという特別な車を、より幅広い人々に楽しんでもらうための入り口」として用意したのではないでしょうか。これにより、硬派なスポーツカーファンから、スタイルや雰囲気を楽しみたい層まで、多くのファンを獲得できたのかもしれませんね。
80スープラのrzの方が向いてる人
80スープラのRZは、購入後すぐにサーキットやワインディングを楽しみたい方や、6速マニュアルとビルシュタイン製サスペンション、大径ブレーキといった「純正の完成度」を重視する方に特におすすめのグレードです。メーカーが考え抜いたベストバランスを、まずはノーマルのままでじっくり味わいたい、という想いに応えてくれます。
具体的に、こんな方にRZはピッタリです。
- 前提として6MTで探している
- 購入後、すぐにカスタムする予定はない
- ノーマルのままでもサーキット走行を楽しみたい
- ビルシュタイン製の引き締まった乗り味に魅力を感じる
- 高速道路や峠道での安定性を重視したい
- 後期モデルのRECAROシートにこだわりたい
- 将来的なリセールバリューも少し意識している
- 純正ならではのバランスの取れた走りを体感したい
▼**「純正の完成度」という価値**
RZは、ブレーキ、サスペンション、LSDといった走りの根幹をなすパーツが、最初から高いレベルでパッケージングされています。これは、後から一つずつパーツを交換していく手間やコスト、そしてセッティングの難しさから解放してくれる、とも言えます。特に古いスポーツカー市場では、こうした「純正度の高さ」が車の価値を左右する重要な要素になる傾向があるようです。
▼知っておきたいコスト面
完成度が高い反面、前述の通りタイヤやブレーキパッドといった消耗品のコストはRZ-Sより高くなる可能性があります。また、専用装備であるビルシュタイン製ショックが寿命を迎えた場合、同じものに交換すると費用がかさむことも考えられます。このあたりは、高い走行性能と引き換えの「嬉しい悩み」と言えるかもしれません
80スープラのrz-sの方が向いてる人
80スープラのRZ-Sは、オートマ(AT)で気軽に乗りたい方や、初期費用を抑えつつ自分の好みに合わせて段階的にカスタムを楽しみたい「育てるベース」として最適なグレードと言えるでしょう。RZほどのスパルタンさは求めず、自分のライフスタイルや好みに合わせてスープラとの付き合い方を決めたい方に、幅広い可能性を提供してくれます。
RZ-Sは、こんなあなたにおすすめです。
- **AT(オートマ)**でスープラに乗りたい
- 街乗りや快適なロングドライブがメイン
- 購入時の初期費用をできるだけ抑えたい
- 自分好みの車高調やホイールに交換する予定がある
- 段階的にカスタムしていく**「育てる楽しみ」**を味わいたい
- 維持費、特に消耗品コストは賢く節約したい
- まずはノーマルで乗り出し、必要に応じてブレーキなどを強化したい
▼**「自分だけのスープラ」を作る楽しみ**
RZ-Sの魅力は、何と言ってもその「余白」の多さです。RZとの価格差をカスタム費用に充て、最新の高性能な車高調を入れたり、デザイン性の高いホイールを選んだり…。まるでプラモデルを組み立てるように、自分だけの理想のスープラを作り上げていく楽しみは、RZ-Sならではの特権かもしれません。中古パーツも豊富に流通しているため、アイデア次第で様々なスタイルを実現できます。
▼選ぶ際のチェックポイント
RZ-S、特にAT車を選ぶ際に一つだけ気にしておきたいのが「LSDの有無」です。街乗りメインであれば無くても全く問題ありませんが、もし少しでもスポーティな走りを考えているなら、LSD付きの個体を探すか、後付けすることも視野に入れると良いでしょう。中古車販売店で確認すれば、教えてくれるはずですよ。
80スープラのrzとrz-sの共通の注意点:一目で分かる一覧表
80スープラのRZとRZ-Sは、どちらを選んでも製造から20年以上が経過した特別なスポーツカーです。そのため、購入後の維持にはタイミングベルト交換などの定期メンテナンス、経年劣化する部品への理解、そして盗難対策が共通して重要になります。古き良き時代の名車と長く付き合っていくために、以下のポイントを心に留めておきましょう。
▼メンテナンス・機関系
- タイミングベルト:2JZエンジンはタイミングベルト式です。メーカーは10万kmごとの交換を推奨していますが、年数も考慮し、購入時に交換履歴が不明な場合は交換しておくと安心です。ウォーターポンプなども同時に交換するのが一般的です。
- ターボ:シーケンシャルツインターボの切り替えがスムーズか、異音がないかなどを確認しましょう。ゴム製のホース類は経年で硬化し、不調の原因になることがあります。
- 冷却系:特に夏場の渋滞などでは水温が上がりやすくなります。ラジエーターやホース類の状態はしっかりチェックしておきたいポイントです。
▼足回り・消耗品
- ブッシュ・アーム類:サスペンションの付け根にあるゴム部品(ブッシュ)は、年式相応に劣化しています。交換すると乗り心地やハンドリングがシャキッと蘇ることが多いです。
- ブレーキ:RZの大径ブレーキは17インチ以上のホイールが必須です。RZ-Sからインチアップする際は、ブレーキキャリパーにホイールが干渉しないか、適合を確認する必要があります。
- タイヤ:スープラの純正サイズ(特にリアの255/40R17)は、今でもスポーツタイヤを中心に選ぶことができます。
▼その他(維持・防犯)
- 各種税金:自動車税は最初の登録から13年を超えると高くなります。3リッターのスープラも対象です。
- 部品の供給:トヨタの「GRヘリテージパーツプロジェクト」により一部の部品が復刻されていますが、全ての部品が手に入るわけではありません。特にミッション内部の部品などは希少になりつつあります。
- 盗難対策:残念ながら、この時代の国産スポーツカーは盗難のターゲットになりやすいのが現実です。ハンドルロックやタイヤロックといった物理的な対策に加え、GPS追跡装置やセキュリティシステムの導入を強くおすすめします。
▼信頼できるパートナーを見つけよう
古いスポーツカーを維持していく上で、最も大切なのは「信頼できる整備工場やショップ」との出会いかもしれません。スープラに詳しい専門家を見つけておくことで、トラブルが起きたときも的確なアドバイスをもらえ、安心してカーライフを楽しむことができます。購入を検討する際は、その後のメンテナンスの相談ができるお店かどうかも、判断基準の一つに加えると良いでしょう。
「80スープラのRZとRZ-Sの違い」記事のまとめ
- 80スープラ選びの核心は、「純正の完成度」を重視するならRZ、「カスタムの自由度やAT」を求めるならRZ-Sという選択肢に集約されます。
- RZは、ビルシュタイン製サスペンションや大径ブレーキを標準装備した6MT専用の「即戦力」コンプリートモデルです。
- 一方のRZ-Sは、装備を抑えATも選べるため、初期費用を抑えつつ自分好みに仕上げていく「育てるベース」としての魅力があります。
- このグレードの違いは、購入時の価格だけでなく、将来のタイヤやブレーキパッドといった消耗品の維持費にも直結します。
- どちらを選ぶにせよ、20年以上前の車両であるため、タイミングベルト交換などのメンテナンス計画や、盗難対策は共通して必須の課題です。
- 最終的に最も重要なのは、ご自身のカーライフや予算と照らし合わせ、どちらが「乗っていて楽しいか」を想像して、後悔のない一台を選ぶことです。