GR86のRC・RZ・SZの違い、気になりますよね。トヨタが誇るこのFRスポーツカーは、どのグレードを選んでも「運転が楽しい!」という核心部分は同じです。パワフルなエンジンも、キビキビとしたハンドリングも、すべてのオーナーが等しく味わえます。
しかし、カタログをじっくり見比べると、実は「後からではどうにもならない」大きな違いがたくさん隠れているのも事実。その違いを知らないまま、「価格が安いから」「見た目がカッコいいから」という理由だけで選んでしまうと、「こっちのグレードにしておけばよかった…」なんて、後悔につながってしまうかもしれません。
そこでこの記事では、あなたと同じ車好きの目線でGR86のグレード選びを徹底サポートします。難しい言葉は使わず、あなたのカーライフに本当に合う一台を一緒に見つけていきましょう。
この記事を読めば、以下の4つが分かります。
- RC・SZ・RZの具体的な価格と装備の違い
- 一番売れている人気グレードとその理由
- 先輩オーナーたちが後悔しがちな注意点
- あなたの使い方にピッタリのおすすめグレード
GR86のRCとRZとSZの違い【要点まとめ】
GR86のグレード「RC」「SZ」「RZ」の最も大きな違いは、価格とそれに伴う装備の充実度です。エンジン性能は全グレード共通ですが、タイヤサイズや内装の質感、そして後付けが難しい安全装備に明確な差が設けられており、使い方や価値観によって選ぶべきグレードが変わってきます。
価格差とミッション(MT/AT)の違い
まず基本となるのが、価格とトランスミッションの選択肢です。一番シンプルな「RC」が最も安く、中間グレードの「SZ」、最上位の「RZ」と順に価格が上がっていきます。
グレード | 価格帯(税込) | トランスミッション |
RC | 2,936,000円 | 6速MTのみ |
SZ | 3,195,000円~3,293,000円 | 6速MT / 6速AT |
RZ | 3,518,000円~3,616,000円 | 6速MT / 6速AT |
エンジン性能に違いはない
嬉しいことに、GR86はどのグレードを選んでも走りの楽しさの核となる部分は同じです。
- エンジン: 2.4L 水平対向4気筒エンジン
- 最高出力: 235PS/7000rpm
- 最大トルク: 250Nm/3700rpm
このパワフルな心臓部は全グレード共通なので、「安いRCだからパワーがない…」なんて心配は一切ありません。純粋な速さや加速感は、どのグレードでも存分に味わえます。
タイヤサイズとブレンボOPの違い
走りの味付けや見た目の印象に大きく関わるのが、タイヤとホイールです。グレードごとに標準装備されるサイズが異なります。
- RC: 16インチ(スチールホイール)
- SZ: 17インチ(アルミホイール)
- RZ: 18インチ(マットブラック塗装アルミホイール)
インチが大きくなるほど見た目の迫力は増し、グリップ性能も高まる傾向にありますが、一方でタイヤ交換時の費用が高くなったり、乗り心地が硬めに感じられたりする側面もあります。また、より高い制動力を発揮するブレンボ製ブレーキと、しなやかな乗り味を実現するSACHS(ザックス)製ダンパーがセットになった「パフォーマンスパッケージ」は、SZとRZでオプション選択が可能です(RCは選択不可)。
内装の質感と快適装備の違い
車内で過ごす時間の満足度を左右するのが、インテリアと快適装備です。ここにもグレード間で分かりやすい違いがあります。
装備 | RC | SZ | RZ |
シート表皮 | ファブリック | ファブリック | ウルトラスエード®×本革 |
シートヒーター | なし | なし | 標準装備 |
ペダル | 樹脂 | 樹脂 | スポーツアルミ |
シフト/Pブレーキ | ウレタン | 本革巻 | 本革巻 |
後付け不可な安全装備の違い
先進安全装備「アイサイト」は全車に標準装備されていますが、そのほかの安全・快適装備には注意が必要です。
- 後側方警戒支援システム(BSM): 車線変更時に死角の車を知らせてくれる便利な機能。RZは標準装備、SZはメーカーオプションで追加できますが、RCには設定がありません。
- タイヤ空気圧警報システム(TPWS): RZとSZには標準装備ですが、RCにはありません。
- ステアリング連動ヘッドランプ: ハンドルを切った方向を照らしてくれる機能。夜のカーブなどで安心感が高いですが、RZに標準装備(SZ/RCは設定なし)となっています。
特にBSMは、一度使うと手放せなくなるほど便利な装備。後から付けられないので、グレード選びの際にしっかり検討したい部分です。
▼車選びのメモ
こうして見ると、RCは「走りの素材」、SZは「必要な装備を選べるバランス型」、RZは「買った瞬間から満足できる全部入り」というキャラクターがはっきりしていますね。どこにお金をかけたいか、どんなカーライフを送りたいかで、自然と答えが見えてきそうです。
▼注意したいポイント
エンジンが同じだからこそ、装備の違いが後からじわじわと満足度に影響してくる可能性があります。「後から付ければいいや」と思っていた装備が、実はメーカーオプションでしか選べなかった…なんてことも。特に安全装備は、購入前に自分にとって必要かどうかをしっかり見極めたいですね。
GR86の売れ筋グレードは?
GR86で最も人気があり、市場で多く選ばれている売れ筋グレードは、**最上位の「RZ」**である傾向が強いようです。中古車市場での流通台数や専門サイトの情報を見てもRZが最も多く、価格は一番高いものの、それに見合う充実した装備内容が多くのドライバーに支持されていることがうかがえます。
売れ筋はRZ?リセールも意識した選択
RZが多くの人に選ばれるのには、いくつかの理由が考えられます。
1. 買ってすぐ満足できる装備
RZは、他のグレードではオプションだったり設定がなかったりする快適・安全装備が最初から標準で付いてきます。
- 後側方警戒支援システム(BSM)
- 運転席・助手席シートヒーター
- 18インチアルミホイール
- ウルトラスエード®×本革シート
これらを後から追加することは難しい、あるいは費用がかさむため、「どうせ買うなら一番良いものを」と考えるユーザーにとって、RZは非常に魅力的なパッケージになっているのです。
2. パフォーマンス向上の余地
より高い走行性能を求めるユーザーのために用意された「パフォーマンスパッケージ」(ブレンボ製ブレーキ+SACHS製ダンパー)が、SZと同様にRZでも選択可能です。標準装備の充実度に加え、さらに走りをアップグレードできる選択肢が残されている点も、車好きの心をくすぐるポイントでしょう。
3. リセールバリューへの期待
一般的に、人気グレードは将来車を売却する際にも価値が残りやすい(リセールバリューが高い)傾向があります。RZはGR86の中で最も人気が高いため、装備の充実度と合わせてリセール面でも有利に働く可能性がある、と考えるユーザーも少なくないようです。
SZのバランスかRCのカスタムか
もちろん、RZ以外のグレードにもそれぞれの魅力と支持するファンがいます。
- RC: 最も軽量で安価なRCは、「自分だけの一台を作り上げたい」というカスタム派や、モータースポーツのベース車両として考える層から根強い人気があります。余計な装備がない分、軽さを武器にできるのが強みです。
- SZ: SZは、価格と装備のバランスを取りたいユーザーにとって絶好の選択肢です。17インチアルミホイールは日常使いからワインディングまでこなす絶妙なサイズ感ですし、必要な安全装備であるBSMをオプションで追加できるなど、自分仕様に賢くカスタマイズできるのが魅力です。
▼ちょっと深読み
RZが人気なのは、「スポーツカー」という趣味性の高い買い物だからこそ、妥協せずに所有欲を満たしたいという気持ちの表れかもしれません。後から「あっちのグレードにしておけば…」と後悔する可能性が一番低いのがRZ、という安心感も、選ばれる大きな理由になっているのではないでしょうか。
▼補足メモ
もちろん、「売れ筋=あなたにとってベスト」とは限りません。これはあくまで市場全体の傾向です。大切なのは、周りの人気に流されず、ご自身の使い方や予算、そして「車に何を求めるか」をじっくり考えて、最適な一台を見つけることですね。
GR86のグレード選択の後悔ポイント
GR86のグレード選びで後悔しがちなポイントは、購入した後ではどうにもならない**「後付けできない安全・快適装備の有無」**に集中しています。特に、車線変更時に役立つ「BSM」や、MT車のクルーズコントロールの仕様など、カタログを眺めているだけでは気づきにくい”実際の使い勝手の差”が、日々の満足度を大きく左右する可能性があるんです。
後悔ポイント①:安全装備は後付け不可
まず一番に考えたいのが、安全に関わる装備です。これらは基本的に後から付けることができません。
- BSM(後側方警戒支援):隣の車線を走る車を検知して知らせてくれるBSMは、特に高速道路や交通量の多い道で絶大な効果を発揮します。これが標準装備なのはRZのみ。SZはオプションで選べますが、RCには設定すらありません。街乗りや高速走行が多いのにRCを選んで、「やっぱりBSMが欲しかった…」と感じるケースは少なくないようです。
- ステアリング連動ヘッドランプ:夜の暗いカーブで、ハンドルの向きに合わせてヘッドライトが進行方向を照らしてくれる機能です。これもRZが中心の装備。夜間や早朝の運転が多い方、街灯の少ない道を走る機会がある方がSZやRCを選ぶと、「夜道が少し見えづらいな」と感じてしまうかもしれません。
後悔ポイント②:冬に差がつく快適装備
次に、毎日の運転で「あってよかった」と感じる快適装備の差です。
- シートヒーターの有無:冬場のドライブで体を芯から温めてくれるシートヒーター。これもRZのみの特権です。特に寒冷地にお住まいの方がSZやRCを選ぶと、「冬の朝はシートが冷たくて辛い…」と後悔する可能性があります。
- TPWS(タイヤ空気圧警報):タイヤの空気圧が減ったことを教えてくれるTPWSは、パンクの早期発見などに役立つ安心装備です。RZとSZには標準ですが、RCには付いていません。自分でこまめに空気圧をチェックする方なら問題ありませんが、そうでないと少し不安を感じるかもしれません。
後悔ポイント③:タイヤと維持費の見落とし
タイヤとホイールのサイズも、後悔につながりやすいポイントです。
- タイヤサイズとコスト:RZの18インチは見た目もグリップも最上級ですが、タイヤの価格は16インチや17インチに比べて高くなります。また、タイヤが薄くなる分、路面の凹凸を拾いやすくなり、乗り心地が硬いと感じることも。見た目に惹かれてRZを選んだものの、日常の乗り心地や将来のタイヤ交換費用に頭を悩ませる…ということも考えられます。
後悔ポイント④:クルコン性能はATとMTで違う
見落としがちですが、MT車とAT車ではクルーズコントロールの機能が異なります。
- クルコンの追従範囲:AT車のクルーズコントロールは、渋滞時などで車が完全に停止するまで追従(0~約120km/hの全車速域で追従)してくれます。一方、MT車の場合は30km/h以上で追従、約25km/hを下回ると機能が解除されてしまいます。渋滞中のノロノロ運転で楽ができると期待してMT車を選ぶと、「あれ、止まってくれないの!?」とがっかりしてしまうかもしれません。
▼僕ならこう考えるかも
もし僕が毎日GR86を通勤で使うなら、やっぱりBSMは欲しいな、と感じます。となるとSZにオプションで付けるのが現実的な落としどころかな…と。でも、もし夜のドライブが好きで、週末に峠道へ出かけることが多いなら、RZのステアリング連動ヘッドランプは心強い味方になりそう。自分の運転シーンを具体的に想像してみることが、後悔しないための何よりの対策ですね。
▼失敗しないための提案
もし可能であれば、違うグレードのレンタカーや試乗車を乗り比べてみることを強くおすすめします。特にタイヤサイズによる乗り心地の違いや、夜間のヘッドランプの見え方なんかは、実際に自分で体験してみないと分からない部分です。少し手間はかかりますが、その価値は十分にありますよ。
GR86のおすすめグレードは?
GR86のどのグレードが最適か、その答えはあなたの「使い方」と「価値観」によって明確に分かれます。コストパフォーマンスと日常での使いやすさを両立させたいなら「SZ」、快適性と安全性を最優先し、買ったその日から最高の満足感を得たいなら**「RZ」、そして、自分だけの一台をゼロから作り上げる楽しさを追求するなら「RC」**が、それぞれベストな選択肢となるでしょう。
おすすめ①:バランス重視ならSZ
SZグレードは、GR86の楽しさと日常での使いやすさを高い次元で両立させたい方に最もおすすめです。
- ちょうどいい17インチタイヤ: 乗り心地とスポーツ性能のバランスが良く、タイヤ交換時のコストも18インチに比べて抑えられます。
- 選べる安全装備: 最も重要ともいえる後側方警戒支援システム(BSM)を、必要な人がメーカーオプションとして追加できます。
- 優れたコストパフォーマンス: RZよりも約30万円安く、その差額をガソリン代やカスタム費用、あるいは大切な人との旅行などに充てることもできます。
まさに、「賢く、楽しく」GR86と付き合っていきたい方にぴったりのグレードです。
おすすめ②:満足度で選ぶならRZ
せっかくのスポーツカー、装備に一切妥協したくない!という方には、迷わずRZグレードをおすすめします。
- 標準装備の豪華さ: BSMやシートヒーター、ステアリング連動ヘッドランプといった、後からは付けられない快適・安全装備がすべて標準で備わっています。
- 最高の見た目と走り: 18インチのマットブラック塗装アルミホイールが足元を引き締め、見た目の満足感は最上級です。
- 高いリセールへの期待: 人気グレードであることから、将来的に手放す際にも価値が残りやすいと期待できます。
特に、夜間や長距離の運転が多い方、そして寒い地域にお住まいの方にとっては、RZの恩恵を最大限に感じられるはずです。
おすすめ③:カスタムを楽しむならRC
「GR86は走りの素材だ」と考える、純粋なドライビング好きやカスタムを楽しみたい方にはRCグレードが唯一無二の選択肢です。
- 最軽量ボディ: 余計な快適装備が付いていない分、車重が最も軽く、軽快なハンドリングを存分に楽しめます。
- 圧倒的な低価格: 最も安価なため、購入費用を抑えて、その分を自分好みのホイールやサスペンション、オーディオなどのカスタム費用に回せます。
- MT専用という潔さ: 6速MTしか設定がないという点も、走りにこだわるドライバーの心をくすぐります。
ただし、BSMやTPWSといった現代的な装備は一切付かないため、その不便さも楽しめるくらいの割り切りが必要な、玄人向けのグレードとも言えます。
【最終確認】あなたの使い方に合うのは?
最後に、あなたの使い方に合わせた最終チェックリストを用意しました。ぜひ参考にしてみてください。
□ 通勤や街乗りがメイン(渋滞多め)
→ ATの全車速追従クルーズコントロールがおすすめ。タイヤ代や乗り心地を考えるとSZのAT車が有力候補。BSMはぜひ付けたいですね。
□ 週末はワインディングを楽しみたい
→ MTの楽しさを優先。ブレーキ強化も考えるなら、パフォーマンスパッケージが選べるSZかRZのMT車。タイヤ代を許容できるならRZ、コスパならSZでしょうか。
□ 夜間や雪国での運転が多い
→ 夜の視界を助けるステアリング連動ヘッドランプと、冬に嬉しいシートヒーターが標準のRZが断然おすすめです。
□ サーキット走行やカスタムが目的
→ 軽さと安さが武器のRC一択。快適装備は潔く諦め、自分だけの一台を作り上げましょう。
▼車選びの最終チェック
もし、あなたの手元に30万円の予算があったら、どう使いますか? SZとRZの価格差は、だいたいそのくらいです。その30万円でRZの豪華な標準装備を手に入れるか、それともSZを選んで差額で欲しかったホイールを買ったり、たくさんドライブ旅行に出かけたりするか…。そう考えると、自分にとって本当に価値のあるものが何なのか、見えてくるかもしれません。
▼背中を押す一言
どのグレードを選んだとしても、GR86が持つ「運転の楽しさ」という本質は全く変わりません。だからこそ、安心して、ご自身のカーライフに一番ぴったり寄り添ってくれる装備をじっくり選んでみてください。悩む時間もまた、車選びの最高の楽しみの一つですからね。