「ランクルは燃費が悪すぎ…」そう感じている方、また購入を検討中で燃費が気になっている方は少なくないでしょう。圧倒的な存在感と信頼性の裏で、燃費性能は確かにランクルのウィークポイントと見られがちです。
しかし、ランドクルーザーの燃費には明確な理由があり、モデルごとの特性を理解すれば、賢く付き合っていくことが可能です。この記事では、現行ランクルの燃費性能を徹底解剖。あなたの「知りたい」にすべてお答えします。
▼この記事でわかること
- なぜランクルが「燃費悪すぎ」と言われるのか、その5つの理由
- モデルごとの実燃費はリッター何キロ走るのか
- 苦手な街乗りと得意な高速道路での燃費の具体的な違い
- 経済的なディーゼルと海外のハイブリッドの比較
- 明日からできる、ランクルの燃費を良くする方法と改善の目安
- ランクルの燃費ランキング
【ランクル燃費悪すぎ】悪い5つの理由
ランドクルーザーの燃費は、その圧倒的な存在感と悪路走破性能と引き換えに、決して良いとは言えません。なぜなら、その設計思想が「どこへでも行き、生きて帰ってこられること」を最優先にしているからです。燃費が悪くなってしまう主な理由は、大きく分けて以下の5つに集約されます。
- とにかく重い車両重量ランドクルーザーは、非常に頑丈な「ボディオンフレーム構造」を採用しているため、車体がとても重くなっています。例えば、現行のランドクルーザー300シリーズではグレードによって異なりますが約2.4トンから2.6トンにもなり、これは一般的な乗用車の1.5倍以上の重さです。車は重ければ重いほど、発進や加速時により多くのエネルギー(燃料)を必要とするため、燃費が悪化する最大の要因となっています。
- 空気抵抗を受けやすい箱型のデザイン背が高く、角張ったSUVの形状は、どうしても走行中の空気抵抗が大きくなります。特に高速道路など、速度が上がる場面では空気の壁を押しのけながら走るような状態になり、燃費が伸び悩みやすくなります。
- 常時4輪を駆動させる駆動システム現行のランドクルーザー250や300は、常に4つのタイヤすべてに駆動力を伝える「フルタイム4WD」を採用しています。このシステムはどんな路面でも安定した走りをもたらす一方で、常に多くの部品が動き続けるため、エネルギーの損失(駆動ロス)が発生し、燃費には不利に働きます。※なお、ランドクルーザー70は、通常は2輪駆動で走り、必要な時だけ4輪駆動に切り替える「パートタイム4WD」を採用しており、駆動方式が異なります。
- 大きくて重いタイヤ悪路を走破するために、ランドクルーザーは直径が大きく幅も広いタイヤを装着しています。この大きなタイヤは、転がる際の抵抗が大きく、また一度回転させると慣性も大きくなるため、細かな加減速が繰り返される街中では特に燃費を悪化させる一因となります。
- 悪路走行を重視したギア比ランドクルーザーのトランスミッションは、坂道やぬかるみなどを力強く駆け上がるため、低速ギアでのトルク(タイヤを回す力)を重視した設定になっています。これは悪路では絶大な安心感につながりますが、平坦な道での加速時にエンジンの回転数が上がりやすくなるため、燃費の観点では少し不利になります。
▼車選択ガイドの考察
ランドクルーザーが持つこれらの特徴は、すべて「信頼性」や「耐久性」という大きな魅力につながっています。燃費という一面だけを見るとデメリットに感じられますが、それが世界中で愛され続ける理由そのものだと言えるかもしれませんね。
ランクルの燃費はリッター何キロ【実燃費】
ランドクルーザーの実燃費は、モデルや搭載されるエンジンによって大きく異なり、オーナーの報告を総合するとおおよそリッター6kmから11kmの範囲に収まることが多いようです。特に、パワフルなガソリンエンジンと、経済的なディーゼルエンジンで差がはっきりと現れます。
以下に、現行モデルを中心とした実燃費の目安をまとめました。
モデルシリーズ | エンジン種類 | 実燃費の目安(参考値) |
ランドクルーザー300 | 3.5L ガソリン | 6.0~7.0 km/L |
3.3L ディーゼル | 8.0~9.0 km/L | |
ランドクルーザー250 | 2.7L ガソリン | 6.0~7.0 km/L |
2.8L ディーゼル | 9.0~11.0 km/L | |
ランドクルーザー70 | 2.8L ディーゼル | 8.0~10.0 km/L |
※実燃費はオーナー評価から外れ値を除外して計算した参考値です。走行環境(季節、渋滞、積載量など)によって±20~30%程度変動します。
※LC250のガソリンモデルが、ディーゼルよりも優れている点について詳しく知りたい人は、ランクルのガソリンvsディーゼルどっちがいい?【リセールら比較】をご覧ください
▼オーナー評価傾向
やはりディーゼルモデルの燃費性能が際立っていますね。特にランドクルーザー250のディーゼルは、この大きな車体でリッター10km前後を狙えるため、「思ったより走る」という声も多いようです。一方でガソリンモデルは、その静粛性とパワフルな走りが魅力ですが、燃料代はディーゼルモデルよりかかることを想定しておくと良いでしょう。
ランクルの街乗り燃費と高速燃費
ランドクルーザーの燃費は、走行シーンによって大きく表情を変えます。一般的に、ストップ&ゴーの多い「街乗り」が最も苦手で、一定の速度で走り続けられる**「高速道路」では燃費がかなり伸びる**傾向にあります。これは、メーカーが公表しているWLTCモード燃費の内訳を見ても明らかです。
モデル(エンジン) | 市街地モード | 郊外モード | 高速道路モード |
LC300 (ディーゼル) | 7.4 km/L | 9.7 km/L | 11.1 km/L |
LC300 (ガソリン) | 5.4~5.5 km/L | 8.2~8.3 km/L | 9.5~9.7 km/L |
LC250 (ディーゼル) | 8.5 km/L | 11.0 km/L | 12.6 km/L |
LC250 (ガソリン) | 5.7 km/L | 7.6 km/L | 8.6 km/L |
LC70 (ディーゼル) | 8.0 km/L | 10.5 km/L | 11.0 km/L |
▼なぜ分析
この差が生まれるのは、やはり「車両重量」が大きく関係しています。信号などで停止した重い車体を再び動かすには、膨大なエネルギーが必要です。そのため、発進・停止を繰り返す街乗りでは燃費が大きく悪化します。逆に、一度スピードに乗ってしまえば、高速巡航は比較的少ないエネルギーで走り続けられるため、燃費が改善するのです。
ランクルの燃費【ディーゼルとガソリンとハイブリッド】
ランドクルーザーのパワートレインを燃費の観点から見ると、現在、日本のラインナップではディーゼルエンジンが最も経済的な選択肢です。海外ではハイブリッドモデルも登場しており、それぞれの特性を理解することが重要です。

- ディーゼルエンジン(国内主力)日本の現行ランドクルーザーは、250、300、70の全モデルでディーゼルエンジンが選択可能です。低回転から力強いトルクを発生させる特性は、重い車体との相性が抜群。WLTCモード燃費でもガソリン車を大きく上回り、燃料である軽油がガソリンよりも安価なため、トータルの燃料コストを抑えられるのが最大のメリットです。
- ガソリンの現行ランドクルーザーは、人気が限定的と言える状況です。静粛性が魅力ながら、軽油よりもコストが高い。公式からもいくつかガソリン車の注文停止も出ており、基本的にはディーゼルが無難です
- ハイブリッド(海外仕様・参考)北米などで販売されている新型ランドクルーザーには、2.4Lターボエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムが搭載されています。アメリカの環境保護庁(EPA)が定める燃費は、**複合モードで23MPG(約9.8km/L)**です(内訳:市街地22MPG/高速25MPG)。特に発進・停止時にモーターがアシストするため、市街地での燃費効率が良いのが特徴です。
▼車選択ガイドの考察
現時点(2025年9月)で日本でランドクルーザーを選ぶなら、燃費を重視する場合はディーゼルモデル一択と言えるでしょう。力強い走りと経済性を両立しており、多くの方にとって満足度の高い選択になるはずです。もし将来、日本市場にもハイブリッドモデルが導入されれば、特に都市部での利用が多い方にとって非常に魅力的な選択肢となりそうですね。
ランクルの燃費良くする方法:どこまで改善できる?
ランドクルーザーの燃費は、日々のちょっとした心がけで改善させることが可能です。劇的な変化は難しいものの、いくつかのポイントを実践することで、5%から15%程度の燃費向上は十分に期待できます。月々のガソリン代に換算すると、決して小さくない節約につながります。
すぐに試せる!燃費改善のための5つのアクション
- やさしいアクセル操作を心がける最も効果的なのが「急」のつく操作を避けること。特に発進時は、車体が持つ重さを意識して、じわっとアクセルを踏み込むのがコツです。時間に余裕を持った予見運転で、不要な加速やブレーキを減らしましょう。
- タイヤの空気圧をこまめにチェックタイヤの空気圧が低いと、転がり抵抗が増えて燃費が悪化します。月に一度はガソリンスタンドなどで適正な空気圧になっているかを確認・調整するだけで、燃費の低下を防げます。
- 不要な荷物は降ろす車は軽ければ軽いほど燃費が良くなります。普段使わないキャンプ道具やルーフキャリアなどを載せっぱなしにしている場合は、思い切って降ろしてみましょう。特にルーフキャリアは空気抵抗も増えるため、高速走行時の燃費に大きく影響します。
- 高速道路では速度を控えめに空気抵抗は速度の2乗に比例して大きくなります。例えば、時速110kmで走るのを90~100km程度に抑えるだけで、エンジンへの負荷が減り、燃費が目に見えて改善することがあります。
- 定期的なメンテナンスを怠らないエンジンオイルやエアフィルターの定期的な交換は、エンジンを常に良い状態で保ち、無駄な燃料消費を防ぐことにつながります。
▼対策
これらの方法を組み合わせることで、例えば実燃費がリッター10km/LのLC250ディーゼルなら、11.5km/Lまで改善することも夢ではありません。タンク容量は80Lなので、満タンあたりの航続距離が120kmも伸びる計算になります。日々の小さな積み重ねが、大きな違いを生むのです。
ランクルの燃費ランキング【燃費一覧】
「結局、どのランドクルーザーが一番燃費がいいの?」という疑問にお答えするため、現行モデルの燃費性能をランキング形式でまとめました。公式のWLTCモード燃費と、オーナー報告に基づく実燃費の目安を併記していますので、あなたの使い方に合った一台を見つけるための参考にしてください。
順位 | モデル(エンジン) | WLTC複合燃費 | 実燃費の目安 |
1位 | LC250 (2.8L ディーゼル) | 11.0 km/L | 9.0~11.0 km/L |
2位 | LC70 (2.8L ディーゼル) | 10.1 km/L | 8.0~10.0 km/L |
3位 | LC300 (3.3L ディーゼル) | 9.7 km/L | 8.0~9.0 km/L |
4位 | LC300 (3.5L ガソリン) | 7.9~8.0 km/L | 6.0~7.0 km/L |
5位 | LC250 (2.7L ガソリン) | 7.5 km/L | 6.0~7.0 km/L |
参考 | 米国 LC (2.4L HV) | 約9.8 km/L | – |
ランキングのポイント
- 燃費No.1は「ランドクルーザー250 ディーゼル」最も燃費が良いのは、現代的なクリーンディーゼルを搭載したLC250という結果になりました。街乗りから高速までバランスが良く、経済性を重視するなら最有力の選択肢です。
- 航続距離が魅力の「ランドクルーザー70」2位のLC70は、130Lという大容量の燃料タンクが特徴。単純計算で1,300km以上を無給油で走り続けられる計算になり、長距離の冒険に出かける際の安心感は絶大です。
- ガソリンモデルはパワフルさとトレードオフパワフルで静粛性に優れるガソリンモデルは、燃費の面ではディーゼルに一歩譲ります。特に街中での燃費は厳しくなる傾向があるため、年間走行距離や利用シーンをよく考えて選ぶのがおすすめです。
▼提案
このランキングはあくまで燃費という一つの指標に過ぎません。ランドクルーザー選びで最も大切なのは、それぞれのモデルが持つ世界観やデザイン、走りの特性が、あなたのライフスタイルに合っているかどうかです。ぜひ、燃費性能も参考にしつつ、総合的に「相棒」となる一台を見つけてみてください。
ランクル:なぜLC250の方がLC70よりも燃費が良いの?
LC250の方がLC70よりも燃費がいい理由は、「ギヤ段数の多さ」「主要燃費改善対策の電動パワーステアリングらの有無」「箱型の空気抵抗の不利」「タイヤと足回り」が挙げられます。
・ギヤ段数の多さ:最も効率のいいギヤを細かく選べます。特に高速道路では、エンジンを無駄に回さずに低い回転数で静かに走ることができるため、燃費が良くなります
・パワーステアリング:この機能は、簡単にいうと必要なときだけ働いてくれる省エネ機能です。ハンドルを回した時にだけ軽くアシストしてくれるので、負担が小さくなります
・ボディ:LC70は、カクカクした箱型で、正面からの風を真っ向から受けやすく、前に進むのにより多くの力を必要とします
・タイヤと足回り:LC70は悪路走行に特化しています。タイヤはオフロード用であり、サスペンションは岩場などの過酷なオフロードに耐えうる頑丈なものになっています。その分、舗装された道ではエネルギーのロスが少し大きくなります。
たしかに燃費には、車体の重さの影響を強く受けます。トヨタ公式のカタログを見てみると、LC250の方が100kg程度多いです。しかしその重さによるデメリットも、トヨタの最新技術の積み重ねによって大きく改善されているんですね。
「ランクルのハイブリッドが魅力的に見える」な人
海外でハイブリッドが主流なのは、地域性によるものです。
たとえば米国では、車の環境規制がかなり厳しく、窒素酸化物らの処理の基準を満たすのにかなり高価な装備を追加しなければなりません。おまけ米国では、レギュラーガソリンよりも軽油の方が高くなっている背景があります。
一方で、ハイブリッドは、ランドクルーザーのような大きな車体でも国の規制基準を満たすのにかなり都合よく、ランドクルーザーをハイブリッド専用として再上陸させたほどです。
要するに、ハイブリッドは売り手側の事情環境によるものなので、ランドクルーザーを日本の環境で使用するのに適したものではないということです。もちろんそれぞれのオーナーのカーライフによって異なりますが、ほとんどの人にとっては、日本の現行モデルの形式を最適解とする人の方が多いと考えられます。
【ランクル燃費悪すぎ】記事のまとめ
- ランクルが「燃費悪すぎ」と言われる理由は、重い重量・空力・4WDなど5つの明確な点にあります。
- モデル別の実燃費は、ガソリン車でリッター6km台、ディーゼル車でリッター11km台が目安です。
- 街乗り燃費は特に厳しいですが、高速道路では燃費が大きく改善する傾向があります。
- 日本では燃料費の安い軽油を使うディーゼルエンジンが最も経済的な選択肢と言えます。
- 海外にはハイブリッドモデルも存在しますが、燃費性能は国内のディーゼルと近い水準です。
- 現行モデルの燃費ランキング1位は、WLTCモードで11.0km/Lを達成したLC250ディーゼルです。
- LC300やLC250のガソリン車は燃費で劣りますが、パワフルな走りが魅力です。
- 燃費を良くする方法として、優しい運転やタイヤ空気圧チェックが簡単かつ効果的です。
- 日々の工夫で燃費は5%~15%改善可能で、満タンでの航続距離に大きな差が生まれます。
- 燃費性能だけでなく、各モデルの特性を総合的に理解し、自分に合った一台を見つけることが重要です。