カローラフィールダーの生産終了。長年、日本の暮らしやビジネスに寄り添ってきた一台なだけに、このニュースに驚きや寂しさを感じている方も多いのではないでしょうか。
「なぜ人気のモデルが終わってしまうの?」
「次に乗るなら、どのクルマがいいんだろう?」
そんな疑問にこたえるため、この記事では様々な情報を集めて、分かりやすく整理しました。
愛されてきた一台のフィナーレと、その先のカーライフを考えるヒントがきっと見つかります。
▼この記事でわかること
- 生産終了の背景にある複数の理由
- 実質的な後継車はどのモデルなのか
- 5ナンバーサイズなど、用途ごとのおすすめ乗り換え候補
- 後継候補となる車種とのスペックや価格の比較
カローラフィールダーの生産終了:なぜ?
カローラフィールダーの生産は2025年10月末で終了することがトヨタから公式に発表されました (2025年2月14日に、カローラアクシオとフィールダーの生産終了を告知)。その理由として、2012年から続くモデルの基本的な設計が古くなったこと、すでに新しい世代の「カローラツーリング」が登場していること、市場の主流がSUVへと移り変わったこと、そして年々厳しくなる安全基準への対応コストなどが、複合的に影響したと考えられます 。ただし、トヨタが「これが理由です」と特定の説明をしているわけではありません。
生産終了の理由①:13年超の歴史に幕
現行型のカローラフィールダー(E160系)がデビューしたのは2012年のこと 。
実に13年以上にわたって生産され続けた、とても息の長いモデルです。
2019年には新しい世代の「カローラ」「カローラツーリング」が登場しましたが、フィールダーは日本の道路事情に合った5ナンバーサイズを維持したい法人ユーザーや個人の根強いニーズに応える形で、グレードを整理しながら販売が続けられてきました 。
生産終了の理由②:後継ツーリングとの役割分担
2019年に3ナンバーサイズの新型「カローラツーリング」が登場したことで、「カローラ」の名前を持つワゴンは2種類が同時に販売される状態になりました 。
この時から、最新の安全性能やデザインを求める一般ユーザーは「ツーリング」へ、仕事での使いやすさや5ナンバーサイズにこだわるユーザーは「フィールダー」へと、すみ分けが進んでいたのです。
いわば、フィールダーは新型にその役目を引き継ぎ、特定のニーズに応えるための「特別延長」期間にあった、と考えるのが自然かもしれません。
生産終了の理由③:SUV人気による市場の変化
一昔前はファミリーカーの定番だったステーションワゴンですが、近年はより室内空間の広いミニバンや、デザイン性の高いSUVに人気が集まっています 。
もちろん、ワゴンの持つ荷室の使いやすさや、セダンのような運転のしやすさには今も根強いファンがいますが、市場全体で見るとその立ち位置は少しずつ変化してきました。
こうした市場の変化も、車種整理の背景にある一因と言えそうです。
生産終了の理由④:厳格化する安全基準
2021年11月以降、新しく販売される車には、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)の搭載が義務化されています。
さらにこのルールは、長く生産され続けている継続生産車にも2025年12月から段階的に適用されることになっています 。
カローラフィールダーにも「Toyota Safety Sense」は搭載されていますが、より厳しくなっていく基準に合わせて古い設計の車を改良し続けるには、大きなコストがかかります。これも、生産終了という判断を後押しした可能性が考えられます。
生産終了の理由⑤:認証不正問題の影響は?
2024年には、型式指定の認証不正問題で、カローラフィールダーも一時的に出荷が停止される出来事がありました(その後、生産は再開) 。
この件が生産終了の直接的な原因と断定することはできません。
ただ、管理体制がより厳しくなる中で、古いモデルの生産を続けるメリットが薄れた、という見方はできるかもしれません。
▼今回の背景を整理してみると…
「なぜ終わるの?」と考えると寂しいですが、「人気がなくなったから」という単純な理由ではないかもしれません。新しいモデルに主役の座を譲り、市場の流行が変わり、安全基準も厳しくなる…そんな時代の流れの中で、13年以上という長い期間、自身の役割をきっちりと全うし、卒業していく。そんな風にも考えられます
カローラフィールダーの生産終了:後継は?
カローラフィールダーの生産終了にあたり、トヨタから「これが公式な後継車です」と名指しされたモデルはありません 。しかし、現在販売されているトヨタ車の中で、最も役割やコンセプトが近いのは、同じステーションワゴンである**「カローラ ツーリング」です 。また、「5ナンバーサイズ」という条件を最優先するなら「シエンタ」や「プロボックス」が、現代的なSUVスタイルを求めるなら「カローラ クロス」**が、それぞれ有力な乗り換え候補となります 。
後継車の本命はカローラツーリング
現在のカローラシリーズで、唯一のステーションワゴンが「カローラツーリング」です。
フィールダーの実質的な後継モデルと考えてよいでしょう。
2019年に登場した新しい世代のモデルで、最新の安全装備「Toyota Safety Sense」を備えています 。2025年5月の一部改良で、ガソリン車がなくなりハイブリッド専用車になったのも大きな特徴です 。
後継ツーリングとの違いは?サイズ・荷室を比較
乗り換えを考える上で、最も気になるのがサイズ感と荷室の使い勝手ですよね。
- 荷室の広さ
- フィールダー:通常時 約410L前後 / 後席を倒すと最大 約872L
- ツーリング:通常時 約392L / 後席を倒すと最大 約802L
意外にも、後席を倒した時の最大容量は、数字上は旧型のフィールダーの方が広いというデータもあります。ただ、日常的な使い勝手では、ほぼ同じ感覚で使えると考えてよいでしょう。
- 車幅の違い
- フィールダー:1,695mm (5ナンバー)
- ツーリング:1,745mm (3ナンバー)
最も注意したいのが、この5cmの車幅の差です。この差によって、ツーリングは3ナンバーサイズになります。ご自宅の駐車場が機械式の場合や、会社の規定で5ナンバー車しか認められていない場合は、ツーリングが選択肢から外れてしまう可能性があるので、必ず確認が必要です。
5ナンバー維持の後継車は?用途別の代替案
「どうしても5ナンバーサイズがいい」「仕事でガンガン使いたい」といった、フィールダーに求めていた価値によっては、他の車種がしっくりくることもあります。
- 家族での利用や乗り降りを重視するなら:シエンタ5ナンバーサイズを維持しつつ、スライドドアを備えたミニバンです。3列シートも選べるので、家族が増えても安心。フィールダーからの乗り換えで最もスムーズな選択肢の一つです。(トヨタ シエンタ公式サイト)
- 仕事の相棒として荷室効率を求めるなら:プロボックスまさに「働くための車」。四角く広大な荷室は、段ボールや長尺物を積むのに最適化されています。内装はシンプルですが、その分、価格が抑えられているのも魅力です。(トヨタ プロボックス公式サイト)
- 今どきのスタイルと見晴らしの良さなら:カローラ クロスフィールダーと同じ「カローラ」の名を持つSUVです。少し車高が高くなるので運転時の見晴らしが良く、乗り降りもしやすいのが特徴。荷室も広く、アウトドアレジャーにもぴったりです。(トヨタ カローラ クロス公式サイト)
後継候補スペック比較表
それぞれの車の特徴を、数字でざっくりと比べてみましょう。
車種 | モデル | 車幅区分 | 全長×全幅×全高(mm) | 燃費(WLTC・目安) | 新車価格帯(目安) |
カローラフィールダー | E160系 (~2025) | 5ナンバー | 4,400×1,695×1,500 | 約23~28km/L (HV) | 約180~250万円 |
カローラツーリング | E210系 (現行) | 3ナンバー | 4,495×1,745×1,460 | 約25~30km/L (HV) | 約235~342万円 |
シエンタ | 現行 | 5ナンバー | 4,260×1,695×1,670 | 約18~28km/L | 約207~332万円 |
プロボックス | 現行 | 5ナンバー | 4,245×1,690×1,525 | 22.6km/L | 約153~205万円 |
カローラ クロス | 現行 | 3ナンバー | 4,490×1,825×1,620 | 約20~26km/L | 約226~330万円 |
※数値は年式やグレードにより変動します。あくまで大まかな傾向としてご参考ください。
※プロボックスHEVの燃費はJC08モードの参考値です。
▼あなたにとっての「後継車」は?
こうして見てみると、「フィールダーの後継はこれ!」と一台に絞るのは難しいことがわかります。フィールダーが持っていた「ワゴンの使い勝手」「ちょうどいい5ナンバーサイズ」「手頃な価格」という美点を、どの価値を一番大切にしたいかで、選ぶべき「次の車」が変わってきそうですね。