GRヤリスのRZとRZハイパフォーマンスの違い【簡単早見表】

トヨタ

GRヤリスのRZとハイパフォーマンスの違いは、この車を選ぶときに多くの方が迷われる、とても大切なポイントですよね。

見た目はよく似ている2つのグレードですが、実はサーキット走行まで見据えた「走りの装備」や、「内装の質感」に、はっきりとした差が設定されています。

「どうせ乗るなら“全部入り”のハイパフォーマンス?」 「いや、街乗りメインだからRZで十分?」 「そもそも、どっちのほうが人気なの?」

そんな疑問を解決するために、この記事では専門家ではない立場から、皆さんの代わりに情報を集めて「分かりやすさ」を最優先に整理しました。

この記事では、以下の4つのポイントが分かります。

  • RZとRZハイパフォーマンスの「装備」の具体的な違い
  • 実際、どちらのグレードが人気なのか?
  • RZハイパフォーマンスが特に向いている人の特徴
  • 購入前に知っておきたい共通の注意点

GRヤリスのRZとRZハイパフォーマンスの違いは?【簡単早見表+要点まとめ】

GRヤリスの「RZ」と「RZ “High performance”(以下HP)」の主な違いは、サーキット走行なども見据えた『走りの装備の厚み』にあります。具体的には、タイヤとホイールの素材、そして冷却関連の装備が異なっています。一方で、エンジンや4WDシステムといった車の心臓部は共通です。

RZとHPの「装備の違い」早見表

まずは、2つのグレードで「何が違うのか」だけを抜き出して、簡単な表にまとめてみました。(2025年現行モデルの情報です)

比較する部分 RZ RZ “High performance”
タイヤ&ホイール 18インチ/ダンロップ系+ENKEI製鋳造 18インチ/ミシュランPS4S+BBS製鍛造(軽量・高剛性志向)
ブレーキ(前) ハード構成:対向4ポット+スリット入り(2ピース構造) 同左(共通)
+カラードキャリパー(装飾)
ブレーキ(後) 対向2ポット(共通) 同左(共通)
冷却・吸気・ダクト類 一部をパッケージで追加する構成 ブレーキダクトら標準装備。詳しくは本文(高温時の安定志向)
シート/内装の雰囲気 スポーツファブリック(布系)中心 合成皮革×スエード調などを使った上級テイスト
変速機/駆動 6MT / 8AT(GR-DAT)× GR-FOUR(共通) 6MT / 8AT(GR-DAT)× GR-FOUR(共通)

出典:GRヤリス主要装備比較表(2025/10)などの情報を基に作成。

表だけでは分かりにくい「差」について、もう少しだけ補足しますね。

違い①:タイヤとブレーキの装備差

HPは、「BBS製の鍛造ホイール」「ミシュラン Pilot Sport 4S」という、高性能なタイヤとホイールを最初から履いています。

ブレーキのハード構成は、RZとHPで共通です。HPだけカラードキャリパー(レッド)が標準となっています。ブレーキキャリパーの色付けは、足元の高級感やスポーティさのある外観を求めたものです。

違い②:冷却系装備と安定性

HPは、インタークーラーに水を噴射して冷やす「インタークーラースプレー」や、ブレーキダクト、サブラジエーターといった冷却関連の装備の一部が標準になっています。

RZは、これらの多くがパッケージオプションとして用意されており、後から追加する形です。

長時間、車の性能をフルに引き出すような走りを想定するかどうかが、大きな違いになりそうですね。

違い③:内装・シートの質感

内装の仕立ても差がつくポイントです。

HPは合成皮革やスエード調の表皮(ブランノーブ®)を使うなど、少し上質な雰囲気を持たせています。

対してRZは、ファブリック(布)素材が中心の、シンプルでスポーティな雰囲気です。これは好みで選んでも良い部分ですね。

共通点:エンジンと8AT・MT

とても大事なことですが、1.6L直列3気筒ターボエンジンや、GR-FOURと呼ばれる4WDシステムは、RZもHPも全く同じです。

どちらのグレードでも、6速マニュアル(MT)と、新開発の8速オートマチック(GR-DAT)を選べます。

4WDのモード切り替え(NORMAL/GRAVEL/TRACK)なども共通なので、GRヤリスの基本的な「運転の楽しさ」や「力強さ」は、どちらを選んでもしっかり味わえます。

(※フロント&リヤのトルセンLSDはHPにのみ標準装備です)

▼車選びの視点

HPの装備は、後から交換しにくい「冷却系」が標準装備になっている点が大きなポイントだと感じます。

逆に、タイヤやホイール、ブレーキパッドは「消耗品」であり、後から自分好みのものに交換する楽しみもあります。

「最初からメーカー最適の全部入りが欲しい」ならHP、「基本のRZを手に入れて、後は自分好みに育てる」ならRZ、という考え方もできそうですね。

GRヤリスのRZとRZハイパフォーマンス:どっちが人気?

GRヤリスの人気は、RZとHPのどちらかに大きく偏っているわけではなく、『どちらも選ばれている』というのが実情のようです。特に2024年以降のモデルでは8速AT(GR-DAT)が加わったことで、選ぶ人の層が広がり、それぞれのグレードが持つ特徴(バランスのRZ、走りのHP)に応じて指名されている印象を受けます。

新車選びのRZとHPの人気【8ATの影響】

2024年春に「進化版」として登場した現行モデルは、ATの追加やエンジンの出力向上(272馬力級→304馬力級)が大きな話題となりました。

トヨタ GRヤリス 公式サイトでも、AT(GR-DAT)は「より多くの人へ」というメッセージが打ち出されており、これまでMTが難しくて諦めていた層にも門戸が開かれました。

この結果、「走りの装備が充実したHPのAT」を選ぶ人や、「公道メインでバランスの良いRZのAT(またはMT)」を選ぶ人など、人気が分散・拡大していると推測されます。

中古車市場での人気と流通量

中古車情報サイトを見てみると、GRヤリス全体で数百台規模の物件が掲載されていることが多いようです(※時期により変動します)。

その中で、「RZ “High performance”」と指定して検索しても、常時まとまった台数の物件が見つかる傾向にあります。

これは、新車時に「どうせ乗るなら一番いいグレードを」とHPを指名買いした人が多かったことの表れかもしれません。

一方で、「RZ」の掲載も安定して存在しており、公道メインでの使用や、価格と装備のバランスを重視する層からもしっかり選ばれていることがうかがえます。

人気の理由は「使い方の違い」

結局のところ、人気が二つに分かれている理由は、買う人が「車をどう使いたいか」の違いに直結しているようです。

  • サーキットや走りを本気で楽しみたい → HPが指名されやすい
  • 公道メインで、GRヤリスの基本性能を楽しみたい → RZも有力な選択肢

どちらかが圧倒的に人気というよりは、「二つの柱」としてどちらも支持されている、というのが実態に近いのではないでしょうか。

▼中古車を探すときのヒント

中古車市場に「ハイパフォーマンス」が一定数流通しているのは、それだけ新車時に「走り」を求めて選んだ人が多かった証拠とも読めますね。

逆にRZは、公道メインでバランス良く乗る人が多く、一度手に入れると長く乗るために、市場に出てくる数が相対的に落ち着いて見える可能性も考えられます(※あくまで推測です)。

どちらにせよ、中古車で探す場合も「自分がどちらの使い方をしたいか」で選ぶのが良さそうです。

GRヤリスのRZハイパフォーマンスが向いてる人は?

RZ “High performance”が向いているのは、一言でいうと『サーキット走行や峠道など、車に高い負荷がかかる場面での“余裕”や“厚み”を、最初から求めている人』です。標準のRZでも性能は十分高いですが、HPはブレーキや冷却性能、タイヤのグレードが工場出荷時から強化されています。

HPがおすすめな人(サーキット派など)

ご自身がどちらに当てはまるか、少し考えてみてください。

  • サーキットやワインディングを走る予定がある(HPの「2ピースブレーキローター」は熱への余裕が大きく、安心感につながります)
  • タイヤやホイールにこだわりたい(最初から「BBS鍛造ホイール」と「ミシュランPS4S」が装着されているのは大きな魅力です)
  • “後から追加”より「全部入り」が好み(冷却系の装備が標準で厚いのはHPの強みです)
  • 室内の上質感も少し欲しい(HPに設定されるスエード調のシートなどは、RZとは異なる雰囲気です)
  • 新しい「エアロパッケージ」も気になる(2025年に発表されたエアロパフォーマンスパッケージは、HPとRC向けに設定されています)

RZがおすすめな人(街乗り・カスタマイズら)

もちろん、誰もがHPを選べば良いというわけではありません。RZのほうが合っているケースもあります。

  • 街乗りやたまのドライブが中心(RZでも公道では十分すぎるほどの性能を持っています)
  • タイヤら「維持費」を抑えたい(HPが履いているハイグレードなタイヤは交換時の費用がRZよりも高額になる傾向があります)
  • シンプルな「素のスポーティさ」が好き(RZのファブリックシートの雰囲気が好み、という人も多いです)
  • 後から自分で足していきたい人

▼コストパフォーマンスの考え方

HPの装備(BBS鍛造ホイール、2ピースローター、冷却系パーツなど)は、もしRZを買ってから後付けで同じレベルもしくはそれ以上のものを揃えようとすると、かなり高額になりがちです。

そう考えると、「どうせ走るなら全部必要」という人にとっては、HPはメーカーが最適に組み上げた「結果的にお得なパッケージ」と見ることもできるかもしれませんね。

GRヤリスのRZとRZハイパフォーマンスの選択の注意点

GRヤリスのRZとHPを選ぶ際には、どちらのグレードにも共通する『スポーツカーならではの特徴』を理解しておくことが大切です。一般的な乗用車や、標準のヤリスとは異なり、高性能と引き換えに快適性や維持費、使い勝手の面でいくつか知っておきたい注意点が存在します。

注意点①:デメリットと高性能の裏側

購入してから「こんなはずじゃなかった」とならないために、カタログの注意書きなどにも記載されているポイントをまとめました。

  • ブレーキの音や汚れ:高性能なブレーキパッドは、その特性上、ブレーキを踏んだ時に「キー」という音が出やすかったり、ホイールがブレーキダスト(鉄粉)で汚れやすかったりする傾向があります。これは故障ではありません。
  • 日常の段差や輪止め:専用のエアロパーツなどが装着されているため、一般的な車よりも最低地上高が低い可能性があります。コンビニの駐車場に入る際の段差や、駐車場の輪止めには注意が必要です。
  • カーボンルーフの修理:軽量化のために採用されているカーボン製の屋根は、万が一、飛び石などで損傷した場合、修理費用が一般的な鉄の屋根よりも高額になる可能性があります。
  • 競技使用は保証対象外:レースやラリー、サーキットでのタイムアタックなどに使用した場合、車の保証が対象外となることが公式に明記されています。
  • スペアタイヤは非搭載:トヨタ GRヤリス 価格・グレードページにも記載がある通り、スペアタイヤは積んでおらず、「タイヤパンク応急修理キット」での対応が基本となります。
  • AT/MTのフィーリング:新開発の8速AT(GR-DAT)は、「運転に集中できる」という大きなメリットがあります。渋滞や街乗りが多いなら快適さが光るでしょう。一方、自分でギアを操作する一体感を最優先するなら、6速MTがやはり魅力的な選択肢となります。

注意点②:維持費と駐車場(実務チェック)

もう少し具体的に、ご自身の生活と照らし合わせてみてください。

タイヤのランニングコスト
ハイグレードなタイヤは、消耗品です。タイヤ4つで10万~15万(2万~3万km)。月イチでサーキット走行をするなら、1万km台で交換することも当然あります。

駐車場や生活道路の確認
ご自宅の駐車場が立体駐車場だったり、スロープの角度が急だったりしませんか? 毎日通る道に大きな段差はありませんか? 一度、現地を確認してみることをお勧めします。

将来の使い方
「今は街乗りだけど、いつかサーキットを走りたい」という“伸びしろ”を考えるなら、最初からHPの冷却性能やブレーキの余裕は大きな安心材料になります。

▼購入前に確認したいこと

特にブレーキの「音」や「ダスト(汚れ)」、日常の「段差」への注意は、試乗や実車確認の際に「自分が許容できる範囲かどうか」をチェックしておきたいポイントです。

これらは「欠点」ではなく、高性能なスポーツカーが持つ「特性」です。ご自身の使い方やライフスタイルと照らし合わせて、素敵なカーライフが送れる選択をしたいですね。