ランクルは年収400万円じゃ維持できない?【維持費vs年収】

ランクルは維持できない? トヨタ

ランクルを維持するための年収は、一体いくら必要なのでしょうか。憧れのランドクルーザーを前に、「自分の収入で本当に所有できるのか」「買ってから維持できない事態になったらどうしよう」と不安に思う方は少なくありません。

特に、再販で話題のランクル70、先進的なランクル250、そして最上級モデルのランクル300では、それぞれかかる費用も異なります。車両価格だけでなく、駐車場代やローン、保険料といった項目が家計に与える影響は決して小さくなく、例えば年収400万円で所有する場合のリアルな生活も気になるところです。

この記事では、具体的なシミュレーションを通じて、モデルごとの詳細な維持費を徹底解説。高いリセールバリューというランクルの持つ大きな魅力も踏まえながら、あなたのライフスタイルに合った一台を見つけるための道筋を示します。

この記事でわかること

  • ランクル70、250、300のモデル別・年間維持費の具体的なシミュレーション
  • 駐車場代やローンを含めた、状況ごとの支払い総額と必要な年収の目安
  • 維持費の中でも特に負担が大きくなりがちな5つの費用項目とその対策
  • 「年収400万円」でランクルを所有した場合のリアルな家計への影響
  • 高いリセールバリューを考慮した、賢いランドクルーザーの所有計画

ランドクルーザーの維持費と年収:シミュレーション

ランクルの維持費

ランドクルーザーの維持費は、モデルや乗り方によって大きく異なりますが、購入後の家計を圧迫しないためには、車両価格だけでなく年間の総コストを把握し、ご自身の年収と照らし合わせて判断することが極めて重要です。一般的に、無理のないカーライフを送るための維持費(ローン返済を除く)の目安は年収の5%、ローンを含めた車関連の総支出は手取り年収の20%以内が理想的とされています。

この記事では、伝説的な「70」、最新鋭の「250」、そしてフラッグシップの「300」という3つのランドクルーザーシリーズに焦点を当て、それぞれの具体的な維持費をシミュレーション。あなたの年収に合ったモデル選びの参考になるよう、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

ランクル70の維持費と年収の目安

ランクル70の維持費や年収の目安を知ることは、この伝説的な一台を末永く楽しむための第一歩です。実際の維持費はどのくらいなのでしょうか。ここでは、具体的な数字を見ながら、必要な年収のイメージを掴んでいきましょう。

ランクル70の年間維持費(概算)

ランドクルーザー”70″の維持費は、その堅牢な設計とディーゼルエンジンによる経済性が特徴で、年間約28.4万円(月額約2.4万円)からが目安となります(駐車場代、ローンを除く)。この金額に、ご自身の状況に合わせた駐車場代やローン返済額を加えることで、よりリアルな総費用が見えてきます。

費目 金額(年間) 備考
自動車税 51,000円 2.8Lディーゼル
自賠責保険料 8,825円 24か月分を年換算
自動車重量税 20,500円 2年分(41,000円)を年換算
印紙代 1,000円 2年分(約2,000円)を年換算
任意保険料 約50,000円 40代・車両保険ありの相場例
(人によってブレあり。15万近くになることも)
燃料費 約153,400円 軽油154.9円/L、燃費10.1km/Lで計算。年1万km想定。(関連記事:ランクル燃費の記事)
維持費合計
(駐車場・ローン除く)
約284,725円 月あたり約23,700円

【状況別】月々の支払いシミュレーションと年収の目安

上記の固定費に、ローンの支払いや駐車場代を加えると、月々の負担は大きく変わります。

条件 ローン(月) 駐車場(月) 維持費(月) 支払い
合計(月)
年収目安
地方・駐車場自己所有 約67,800円 0円 約23,700円 約91,500円 550万円~
地方・駐車場(平均) 約67,800円 約10,600円 約23,700円 約102,100円 600万円~
都心部・駐車場(高額) 約67,800円 約50,000円 約23,700円 約141,500円 850万円~

※1:ローンは車両価格480万円、頭金20%、銀行ローン5年・金利2.3%で計算した参考値です。
※2:支払い合計(月)が、ランクルを所持した場合に掛かる、修理代を除いた月当たりのおおよその金額です。しかしあくまで参考値であり、「ローン、駐車場、任意保険、燃料費」らの変動しやすい数値を見て、調整してください

※年収目安は、車関連費用が手取り月収の20%程度に収まるという仮定で算出した目安です。

▼70シリーズは、その唯一無二の存在感から指名買いする方が多いモデルかもしれません。意外にも税金や燃料費といった基本的な維持費は、他の同クラスのディーゼルSUVと大差ありません。むしろ、リセールバリューが非常に高いため、数年後の総所有コストで考えると、見た目以上に賢い選択となる可能性も秘めているでしょう。

ランクル250の維持費と年収の目安

ランドクルーザー”250″の維持費は、選択するエンジンによって大きく異なり、ディーゼルモデルで年間約27.2万円(月額約2.3万円)、**ガソリンモデルで年間約36.4万円(月額約3.0万円)**からが目安です(駐車場代、ローンを除く)。特に燃料費の差が年間約9.2万円と大きく、走行距離が多い方ほどディーゼルの恩恵を受けられます。

ランクル250の年間維持費(概算)

年間10,000km走行を仮定し、エンジンタイプ別に比較してみましょう。

費目 2.8L ディーゼル 2.7L ガソリン 備考
自動車税 51,000円 51,000円 排気量区分は同じ
自賠責保険料 8,825円 8,825円
自動車重量税 20,500円 20,500円 ~2.5tの場合
印紙代 1,000円 1,000円
任意保険料 約50,000円 約50,000円 相場例
(人によってブレあり。15万近くになることも)
燃料費 約140,800円 約233,100円 WLTC燃費 D:11.0km/L, G:7.5km/L
(関連記事:ランクル燃費の記事)
維持費合計
(駐車場・ローン除く)
約272,125円 約364,425円 年間で約9.2万円の差
月あたり 約22,700円 約30,400円

ディーゼルとガソリンでは、燃費で見ると年1万kmで9万円、半分でも年4万円以上の差が出る計算になります(あくまで参考値)。しかしガソリン車の方が燃費数年分よりも安いうえに、リーセルもガソリン車の方が残価率がイイです(詳しくはランクルのガソリンvsディーゼルにて解説)。実用性のディーゼル、資産運用のガソリンと言ったところです。

【状況別】月々の支払いシミュレーションと年収の目安(ディーゼル車)

ここでは、人気グレードのVXディーゼル(630万円)を例にシミュレーションします。

条件 ローン(月) 駐車場(月) 維持費(月) 支払い
合計(月)
年収目安
地方・駐車場自己所有 約89,000円 0円 約22,700円 約111,700円 650万円~
地方・駐車場(平均) 約89,000円 約10,600円 約22,700円 約122,300円 750万円~
都心部・駐車場(高額) 約89,000円 約50,000円 約22,700円 約161,700円 950万円~

※ローンはは車両価格630万円、頭金20%、銀行ローン5年・金利2.3%で計算した参考値です。
※2:支払い合計(月)が、ランクルを所持した場合に掛かる、修理代を除いた月当たりのおおよその金額です。しかしあくまで参考値であり、「ローン、駐車場、任意保険、燃料費」らの変動しやすい数値を見て、調整してください

▼250を選ぶ際の最大のポイントは、やはりエンジン選びになりそうです。年間走行距離が1万kmを超えるような使い方(特に高速道路や郊外路がメイン)であれば、燃料費の差でディーゼルモデルが有利になるでしょう。一方で、街乗り中心で静粛性を重視するなら、ガソリンモデルも魅力的です。初期費用と年間の燃料費のバランスを、ご自身のライフスタイルに合わせて検討するのが賢明と言えそうです。

ランクル300の維持費と年収の目安

ランドクルーザー”300″の維持費は、シリーズの頂点に立つモデルとして、税金や燃料費、メンテナンス費用など、あらゆる面で最も高額になります。ディーゼルモデルで年間約38.6万円(月額約3.2万円)、**ガソリンモデルで年間約44.7万円(月額約3.7万円)**からが目安となり、これに高額な車両のローン返済や駐車場代が加わります。

ランクル300の年間維持費(概算)

年間10,000km走行を仮定した場合、300の維持費は以下のようになります。

費目 3.3L ディーゼル 3.5L ガソリン 備考
自動車税 57,000円 57,000円 排気量で変動
自賠責保険料 8,825円 8,825円
自動車重量税 24,600円 24,600円 ~3.0tの場合
印紙代 1,000円 1,000円
任意保険料 約60,000円 約60,000円 盗難リスク等で高めに見積
(人によってブレあり。15万近くになることも)
燃料費 約159,700円 約221,300円 WLTC燃費 D:9.7km/L, G:7.9km/L
(関連記事:ランクル燃費の記事)
維持費合計
(駐車場・ローン除く)
約312,125円 約372,725円 年間で約6万円の差
月あたり 約26,000円 約31,100円

【状況別】月々の支払いシミュレーションと年収の目安(ディーゼル車)

最上位グレードのZXディーゼル(773万円)を例にシミュレーションします。

条件 ローン(月) 駐車場(月) 維持費(月) 支払い
合計(月)
年収目安
地方・駐車場自己所有 約110,000円 0円 約26,000円 約136,000円 800万円~
地方・駐車場(平均) 約110,000円 約10,600円 約26,000円 約146,600円 900万円~
都心部・駐車場(高額) 約110,000円 約50,000円 約26,000円 約186,000円 1,100万円~

※ローンはは車両価格773万円、頭金20%、銀行ローン5年・金利2.3%で計算した参考値です。
※2:支払い合計(月)が、ランクルを所持した場合に掛かる、修理代を除いた月当たりのおおよその金額です。しかしあくまで参考値であり、「ローン、駐車場、任意保険、燃料費」らの変動しやすい数値を見て、調整してください

▼300は車両価格が高額なため、ローン返済額が月々の支出の大部分を占めることになります。しかし、ランクルは非常に高いリセールバリューを誇るため、「残価設定ローン」を賢く利用すれば、月々の支払いを抑えることも可能です。ただし、走行距離制限などの条件には注意が必要です。購入後の満足度を最大限に高めるためにも、ディーラーで複数の支払いプランを相談してみるのが良いでしょう。

ランクルのリセールについて具体的に知りたい人は、ランクルのガソリンvsディーゼル【リセールら比較】どっちがいい?をご覧ください

ランクルの維持費で特に負担が大きい項目

ランクルの維持費や年収について深く見ていくと、いくつかの項目が特に大きな負担となりうることが分かります。これらを事前に知っておくことで、より現実的な資金計画を立てることができます。

  • ① 駐車場代(特に都市部)都心3区(千代田・中央・港)などでは、平置き駐車場が月5万円~12万円にもなることがあります。ランクルのような大型車は、サイズ制限で機械式駐車場に入れないケースも多く、結果的に高額な平置き駐車場を選ばざるを得ないことが、維持費を押し上げる最大の要因になる可能性があります。
  • ② 車両ローン500万円を超える車両価格が一般的なランクルでは、ローンの返済額が家計に与えるインパクトは絶大です。例えば、700万円を金利2.3%の5年ローンで組んだ場合、月々の返済額は12万円を超えてきます。維持費全体の中で、最もコントロールしやすく、かつ影響の大きい部分と言えるでしょう。
  • ③ 燃料費年間1万km走行する場合、ガソリンモデルでは年間22万円以上、ディーゼルモデルでも15万円前後の燃料費がかかります。走行距離が伸びるほど、この費用は増えていきます。特に燃費が悪化しやすい市街地走行がメインの方は、想定より費用がかさむ可能性を考えておくと安心です。
  • ④ 任意保険料ランクルシリーズは残念ながら車両盗難のリスクが高い車種として知られており、保険料(特に車両保険)が高くなる傾向にあります。40代の平均的な相場でも年間5~6万円ですが、若い世代の方や等級が低い場合は15万円以上になる可能性があります。
  • ⑤ タイヤ交換費用大径で重量のある車体を支えるタイヤは、必然的に高価になります。サイズによってはタイヤ4本とホイールのセットで20万円を超えることも珍しくありません。3~4年に一度の交換サイクルを考えると、まとまった出費として備えておく必要があります。

▼結局のところ、ランドクルーザーを無理なく維持できるかどうかは、「どこに住んでいるか」と「どのように購入するか(現金かローンか)」という2点で大きく左右されると言えそうです。もし都心にお住まいでローンを利用するなら、税金や燃料費よりも、まず駐車場代とローン返済額という2つの巨大な固定費をクリアできるかどうかが、最初の関門になるでしょう。

もしランクルを年収400万円で購入したら?【維持できない?】

ランクルを年収400万円じゃ維持できない?

ランクルを年収400万円で購入した場合、維持費(税金、保険、燃料費ら)・駐車場代・ローン諸々すべて含めて、最小ケースで年収の27%程度、最大ケースで年収の56%程度になります。つまり「維持できない」のではなく、年収の3割以上を支払いが占めてしまう状況になります。

具体的に見てみると以下になります。

1) ランクル70(2.8D / 480万円想定)

  • 駐車0円9.15万円/月 → 年収比 約27.5%
  • 駐車1.06万円10.21万円/月 → 約30.6%
  • 駐車5万円14.15万円/月 → 約42.5%

2) ランクル250(2.8D / 630万円想定)

  • 駐車0円11.17万円/月 → 約33.5%
  • 駐車1.06万円12.23万円/月 → 約36.7%
  • 駐車5万円16.17万円/月 → 約48.5%

3) ランクル300(3.3D / 773.6万円想定)

  • 駐車0円13.60万円/月 → 約40.8%
  • 駐車1.06万円14.66万円/月 → 約44.0%
  • 駐車5万円18.60万円/月 → 約55.8%

年収400万でランクル購入すると、収入の3割4割程度をランクルのために割かなければならなくなっています。この状況で重要になるのが、予期せぬコストへの備えです。中古で買えば予期せぬ故障があるかもしれませんし、購入した後に不安になり当初よりもセキュリティをさらに増やす必要が出てくるかもしれません。

さらに駐車場は購入前に押さえておかなければ、大惨事になる可能性があります。ランクルを所有するなら節約は難しいと思ってください。

ランクルは駐車代をケチったらいけない

ランクルの駐車場

ランクルの駐車代を節約できない理由は、窃盗団の存在です。ランクルは日本1盗まれる車として2021年にランクインして以降、何年も連続でワースト1位を維持し続けています。さらに悪いことに、ランクルの盗難件数は増え続けて、現在では盗難被害にあう4台に1台はランドクルーザー。だからこそランクルオーナーになるなら、盗難対策は万全にしなければなりません。

その手段の1つが駐車場です。ランクルを止める駐車場は、管理人に門完備。つねに照明と録画カメラが作動し続けている駐車場でなければ、安心して預けることができません。

ちゃんとした駐車場を選ぶかどうかは、保険費用にも影響を与えます。セキュリティ完備できていない駐車場では「被害確率増大」として、車両保険料や特約の負担が増えてしまうんです。そのため駐車場選びに妥協は難しい背景があります。

詳しくは、ランクルが盗まれる確率は?【窃盗団vsセキュリティ対策】をご覧ください

ランクルの維持費は、リセール込みで考える

ランクルのリセールバリュー

ランクルのリセールバリューは、平均年収と維持費のアンバランスさを吹き飛ばすぐらいには、手に入れる価値があるという主張も一考の価値があります。

その理由はランクルのリセールバリューです。海外人気が爆発的に伸びているランクルは、その需要の多さから、すべてのグレードで残価率が100%を超えており、公式販売価格よりも中古の方が高いという状況にあります。

あまりに人気なので転売目的の購入者まで発生し、今までにさまざまな転売対策が行われています。

  • 1年間所有権をディーラー名義にする
  • 転売の疑いがある場合には強制的な注文取消し
  • 1年間転売輸出しない誓約書
  • 台数制限や抽選

ただし真っ当なランクルオーナーたちは、1年後に手放すことができます。「ランクルとのカーライフを1年2年楽しんだ後にリセールで維持費らを回収する」という計画は、ランドクルーザーという名車を楽しんだうえで資金繰りもするやり方として、非常に賢い手段であるのは間違いありません。リセールバリューについては「ランクル:ガソリンvsディーゼル、どっちがいい?【リセールら比較】」をご覧ください。

【ランクル維持できない年収】記事の総まとめ

  • ランクル維持には、税金や燃料費に加え、高額なローンと駐車場代を年収と照らし合わせる必要があります。
  • ランクル70維持する場合、支払い総額は月9万円台からとなり、年収550万円〜が目安です。
  • ランクル250維持費はエンジンで異なり、ディーゼル車なら年収650万円〜が安心して所有できるラインです。
  • 最上級のランクル300維持するには、支払い総額が月13万円を超え、年収800万円以上が求められます。
  • 都市部の駐車場代や高額なローンは、ランクルを「維持できない」と感じさせる最大の要因になり得ます。
  • 年収400万円で所有すると、支払いが収入の3〜5割を超え、家計を圧迫し「維持できない」状況に陥る可能性があります。
  • 盗難リスクNo.1のためセキュリティ完備の駐車場が必須で、これも維持費を押し上げる一因です。
  • しかし、ランクル70250300はすべて、驚異的なリセールバリューという大きな強みを持っています。
  • 高いリセールを前提とすれば、数年後の売却で維持費負担を大きく軽減できる可能性があります。
  • 結果として、表面的な年収の数字だけで「維持できない」と判断せず、リセールを含めた計画が重要です。
  1. 以下、参考出典
  2. 群馬トヨタ自動車株式会社 (ランドクルーザー“300” 価格・グレード)
  3. 燃料油価格定額引下げ措置 (ガソリン全国平均価格の推移)
  4. トヨタモビリティ東京株式会社 (ランドクルーザー“250” 価格・グレード)
  5. 三井住友海上 (自賠責保険料)
  6. 国土交通省 (自動車重量税の税額)
  7. 東京都主税局 (自動車税種別割)
  8. 関西みらい銀行 (マイカーローン)
  9. トヨタカローラいわき株式会社 (ランドクルーザー“300” ローン)