ランクル70のナローとワイドの違い、気になりますよね。中古市場で人気の高いモデルを検討する時や、憧れのカスタム「ナロー化」について調べる中で、具体的な違いがよくわからないと感じている方も多いのではないでしょうか。
ランクル70はその長い歴史の中で様々な仕様が登場しましたが、特にこの「ナロー」と「ワイド」は、見た目の印象だけでなく、日本の道路事情での使い勝手にも関わる重要な選択肢です。
この記事では、そんなランクル70のボディタイプの違いを、良い点も注意点もあわせて、わかりやすく整理しました。最後まで読めば、あなたが求めるランクル70の姿がきっと明確になります。
この記事でわかることは、以下の4点です。
- 2001年式を例にした「ナロー」と「ワイド」の具体的なスペックの違い
- 2023年の再再販モデルに「ナロー」の公式設定があるかどうか
- ワイドボディをあえて「ナロー化」するカスタムのメリット
- ナロー化カスタムで後悔しないために知っておくべき注意点
ランクル70のナロー(2001年式)とワイド(2001年式)の違い:要点まとめ
ランクル70の2001年式における「ナロー」と「ワイド」の主な違いは、全幅、タイヤサイズ、そして後輪ブレーキの3点です。ナローボディ(LX系)は全幅1690mmで後輪がドラムブレーキ、対してワイドボディ(ZX系)はオーバーフェンダーによって全幅が100mm広い1790mmとなり、後輪も制動力に優れるディスクブレーキが採用されています。
これから詳しく見ていきましょう。
見た目とスペック・サイズの違いを比較
2001年当時のランクル70は、大きく分けて2つのボディタイプがありました。
- ナロー(標準ボディ)
- グレードで言うと「LX」などが該当します。
- 名前の通り、ボディ幅がスリムなのが特徴です。
- ワイド(オーバーフェンダー付)
- グレードでは「ZX」などがこれにあたります。
- タイヤを覆うように樹脂製のオーバーフェンダーが装着されており、見た目にも力強い印象です。
どちらも同じランクル70ですが、この2タイプではどれくらいサイズ感が違うのでしょうか。
具体的なスペックを下の表にまとめてみました。
ランクル70 4ドアバン (2001年式) のスペック比較
項目 | ナロー(LX:HZJ76V) | ワイド(ZX:HZJ76K) |
---|---|---|
全長×全幅×全高 | 4685×1690×1910mm | 4835×1790×1935mm |
トレッド(前/後) | 1425/1410mm | 1475/1460mm |
タイヤサイズ | 215/80R16 | 265/70R16 |
ブレーキ(後輪) | ドラム | ベンチレーテッドディスク |
当時の新車価格 | 277万円(LX 4ドア・代表例) | 291.2~309.3万円 (ZX 4ドア・仕様により複数価格設定) |
※上記は代表的なスペックです。年式や細かい仕様によって数値は変わることがあります。また「V/K」は登録区分・仕様で変動し、ナロー/ワイドを厳密に一意に分ける記号ではありません。表は代表例です。(参考出典:ランドクルーザーカタログ(2001))
表を見ると、ワイドはナローに比べて全幅が10cmも広いことがわかりますね。
これはオーバーフェンダーの分だけでなく、タイヤの取り付け幅(トレッド)も広げられているためです。
走りと使い勝手の違い
では、このスペックの違いが実際の使い勝手にどう影響するのでしょうか。
- 取り回しナローボディの強みは、なんといっても狭い道での運転のしやすさです。林道や昔ながらの駐車場などでは、この10cmの差が安心感につながります。一方、ワイドボディはトレッドが広いため、高速道路などでのまっすぐ走る安定感や、カーブを曲がる時の安定性が高い傾向にあります。
- ブレーキ性能後輪ブレーキの違いもポイントです。ワイドに採用されている「ベンチレーテッドディスクブレーキ」は、ナローの「ドラムブレーキ」に比べて、ブレーキが熱を持ちにくく、安定した制動力を発揮しやすいというメリットがあります。
- タイヤの選択肢ワイドが履いている「265/70R16」というタイヤサイズは、現在でも多くのメーカーから販売されており、オールテレーンタイヤやスタッドレスタイヤなどの選択肢が豊富です。ナローの「215/80R16」も選択肢はありますが、ワイドのサイズほど多くはないのが現状です。
▼車選択メモの考察
どちらのボディタイプが良い・悪いということではなく、まさに「どんな道を走り、どう使いたいか」で選ぶべき違いと言えそうです。日本の道路事情を考えるとナローの取り回しの良さは大きな魅力ですが、週末のレジャーで高速道路を多用し、迫力あるスタイルを好むならワイドがしっくりくるかもしれませんね。
▼オーナー評価傾向
一般的に、ナローボディはその道具感あふれるシンプルな佇まいが、ワイドボディはドッシリとした安定感と迫力のあるルックスが、それぞれのオーナーから長年愛されているようです。
ランクル70ナローの再再販は?
結論から言うと、2023年11月に再再販された現行のランクル70に、ナローボディの公式設定はありません。現在、正規ディーラーで購入できるのは、全幅が1870mmとなるワイドボディの「AX」という1グレードのみです。
再再販(新型)モデルにナロー設定はある?
2023年11月29日、トヨタは多くのファンが待ち望んだランドクルーザー”70″の国内再導入を正式に発表しました。
その内容は、これまでのモデルとは大きく異なり、現代の技術に合わせて進化しています。
- エンジン: 2.8L 直列4気筒ディーゼルターボ(1GD-FTV)
- トランスミッション: 6速AT
- ボディタイプ: 4ドアバンのみ
- グレード: AXのみ
- 全幅: 1870mm
このように、公式からはワイドボディ一択という形で販売が開始されました。
再再販70のナロー化と5ナンバー化の疑問
「公式にないなら、カスタムでナローっぽくできないの?」と考える方もいるかもしれません。
これについては、いくつか知っておくべきポイントがあります。
- Q. 再再販70をナロー化できる?A. 技術的には可能です。オーバーフェンダーを外し、タイヤ・ホイールを内側に入れるカスタムを行っているショップやオーナーは存在します。ただし、後述する法律上の手続き(構造等変更検査など)が必要になる場合があるので注意が必要です。
- Q. ナロー化したら5ナンバーになる?A. いいえ、なりません。再再販モデルは乗用車として登録される「3ナンバー」です。外見をナロー風にしても、エンジンの排気量やボディの基本骨格は変わらないため、ナンバー区分が5ナンバーに変わることは通常ありません。
- Q. 昔の70と何が違うの?A. 登録区分が違います。2001年当時の70バンは、基本的に商用車扱いの「1ナンバー」や「4ナンバー」でした。一方、今回の再再販モデルは「3ナンバー」の乗用車です。税金や車検のルールも異なるので、この違いは押さえておきたいですね。
▼注意点
再再販モデルのナロー化は、単なるパーツの付け外しとは異なり「改造」という領域に入ります。実施する際は、保安基準に適合しているか、必要な手続きは何かを、専門のショップや管轄の運輸支局へ事前に確認することが不可欠です。
なぜナローは消えた?なぜワイドに統一?
複数ボディの提供はコストも工数も跳ね上がると考えられるので、一本化は合理性ゆえと考えられます。
もともと日本向けの展開は台数も限られており、限られていればより一本化が行われるのも自然です。
その他、先進安全装備や電子制御適合は、車体寸法やタイヤ外形あトレッドの変更によって、評価のやり直しが発生してしまいます。こちらも一本化の流れになっていく傾向を示しています。
ランクル70のナロー化:メリットは?
ランクル70のナロー化は、見た目をスッキリさせるだけでなく、狭い道での運転が楽になるという実用的なメリットがあります。
ナロー化カスタムで得られるメリット
ワイドボディのランクル70からオーバーフェンダーを取り外す「ナロー化」。そのメリットを具体的に見ていきましょう。
- 取り回しが楽になる最大のメリットは、やはり車幅が狭くなることです。特に再販・再再販モデルのような元々幅の広いモデルでは、数センチ狭くなるだけでも、林道や駐車の際の気楽さが大きく変わってきます。
- クラシカルな外観にオーバーフェンダーのないスッキリとした見た目は、初期のランクル70が持つ無骨で道具感あふれる雰囲気に近づきます。オフロード感はそのままに、よりクラシックな印象にしたい方には嬉しいポイントです。
- 轍(わだち)に強いタイヤの通る位置が内側に入るため、雪道や未舗装路の深い轍を走る際に、ラインの自由度が増すことがあります。
- タイヤ選択の妙ナロー化に合わせて細身のタイヤを選ぶと、転がり抵抗やロードノイズが減り、燃費や静粛性が少し向上する可能性もあります。ただし、タイヤの耐荷重性能(ロードインデックス)は、必ず純正同等以上を維持する必要があります。
▼対策
ナロー化によって走行安定性の変化が気になる場合は、ホイールの「オフセット」という数値を純正に近いものから選ぶのがおすすめです。これにより、ハンドリングへの影響を最小限に抑えることができます。
ランクル70のナロー化:後悔ポイントは?
ランクル70のナロー化で最も後悔しやすいのは、オーバーフェンダーを外した後にボディに残る「穴」の処理と、それに伴うサビのリスクです。また、車幅が2cmを超えて変わる場合の記載変更手続きを怠ったり、任意保険会社への通知を忘れたりすると、法律違反や万一の事故の際に補償を受けられないといった重大な問題につながる可能性があります。
後悔しないために知るべき7つのデメリット
見た目もスッキリし、実用的なメリットもあるナロー化ですが、安易に手を出すと後悔につながる可能性も。事前にしっかり確認しておきましょう。
- ボディに穴が残るオーバーフェンダーはクリップやリベットで固定されているため、外すとボディに複数の穴が残ります。この穴をきちんと塞いで防水・防錆処理をしないと、雨水が浸入してサビの原因になります。
- 車検と法律の壁ナロー化で車幅が車検証の記載値から2cmを超えて変わる場合、「記載変更」という手続きが必須です。これを怠ると、違法改造とみなされる恐れがあります。
- 走行安定性が変わる可能性ワイドボディは、広いトレッドによって走行安定性を確保しています。ナロー化でトレッドが狭くなると、特に高速走行時やカーブでの安定感が変化する可能性があります。
- タイヤの耐荷重性能(LI)細いタイヤを選ぶ際は注意が必要です。車の重さを支える能力を示すロードインデックス(LI)が、純正タイヤの数値を下回ってはいけません。これを守らないと、タイヤの損傷や事故につながる危険があります。
- 任意保険の告知義務ナロー化は車両の改造にあたるため、必ず加入している任意保険会社へ通知する義務があります。通知を怠ると、事故の際に保険金が支払われないことも。
- メーカー保証の対象外に当然ですが、改造にあたるため、関連する部分のメーカー保証は受けられなくなります。
- リセールバリューへの影響中古車市場では、一般的にノーマル状態の車が高く評価される傾向にあります。個性的なカスタムは、売却時に査定額が下がってしまう可能性があることも覚えておきましょう。
カスタム失敗後悔を防ぐためのチェック
- □ 穴の処理:板金塗装など、穴を確実に塞ぐ方法と費用を確認したか?
- □ 寸法確認:カスタム後の車幅が2cmを超えるか?超えるなら記載変更の準備はOK?
- □ タイヤ選び:新しいタイヤのロードインデックスは純正以上か?
- □ 保険連絡:作業前に保険会社へ改造する旨を連絡し、契約継続に問題ないか確認したか?
- □ 純正部品:取り外したオーバーフェンダーやホイールは保管しておくか?(元に戻せるように)
これですべてではなく、必要最低限です。これすら面倒だと思う人は、改造に手を出さない方が無難でしょう。
▼対策
後悔を防ぐ最も確実な方法は、ランクル70のカスタム経験が豊富なプロのショップに相談することです。穴の処理から記載変更手続きの代行まで、すべて含んだ見積もりを取ってから判断するのが安心です。
▼注意点
特に注意したいのが、お車が貨物登録(1ナンバーなど)の場合です。乗用車(3ナンバー)に適用される「タイヤのはみ出し10mm未満OK」という緩和ルールは対象外です。より厳格な基準で見られるため、専門家と相談しながら進めることが重要になります。