パジェロイオの欠点が気になる…、そう思って情報を探していませんか?コンパクトながら本格的な四輪駆動システムを持つパジェロイオは、生産終了から時間が経った今でも根強い人気を誇る一台です。しかし、中古車として購入を検討する際には、その魅力だけでなく、特有の弱点や注意点を深く理解しておくことが、満足のいくカーライフへの第一歩となります。
特に、三菱独自のGDIエンジン(燃料を直接シリンダー内に噴射する高効率エンジン)にまつわる不具合は、このクルマを語る上で避けては通れません。燃費性能や、燃料がハイオクかレギュラーかという問題、そして具体的な故障事例とそれに伴う維持費など、金銭的な負担に直結する要素は誰もが気になるところでしょう。
この記事では、パジェロイオの中古車選びで失敗しないための注意点を、国土交通省交通局などの一次情報やオーナーの声を交えながら、車マニアの視点から徹底的に解説します。パジェロイオにはターボモデルはあってもディーゼルモデルはないこと、生産終了はいつだったのか、そして何ナンバーの車なのか、といった基本的な情報から、具体的なチェックポイントまで、あなたの疑問を解消します。
この記事を読めばわかること
- パジェロイオが抱える最大の欠点である「GDIエンジンの不具合」の具体的な症状と原因
- 実際の燃費と、ハイオク指定による年間の維持費への影響
- 年式やグレードによるリスクの違いと、GDI非搭載モデルの見分け方
- 中古車購入時に失敗しないための、具体的な現車確認と試乗のチェックポイント
- 故障事例から学ぶ、購入前に確認すべき点検項目と販売店との交渉術
パジェロイオ 欠点:買って後悔を避けるチェックリスト
パジェロイオの中古車選びは、その魅力的なルックスや悪路走破性の裏に潜む「欠点」をいかに見抜けるかが鍵となります。特にGDIエンジン関連のトラブルは、購入後の満足度を大きく左右するため、慎重な判断が求められます。ここでは、購入検討の際に必ず確認すべき項目をリストアップし、総合的に判断するための材料を整理します。
判断要素の全体整理
まず、パジェロイオの欠点を評価するために、どのような視点でチェックすればよいかを整理しましょう。主に以下の5つのカテゴリに分けて考えると、リスクを体系的に把握しやすくなります。
カテゴリ | 主な確認指標 |
---|---|
①GDIエンジン関連の不具合 | アイドリングの安定性、加速時の息継ぎの有無、OBD2診断機での失火カウントや燃調補正値、インジェクタの洗浄履歴 |
②燃費・燃料費 | 実燃費(e燃費などのユーザー投稿値を参考に)、ハイオク指定の有無(年式・グレードで異なる)、年間走行距離から試算した燃料費 |
③維持費(故障リスク) | 燃料ポンプや各種センサー類の交換履歴、オートマチックトランスミッション(AT)の動作、足回りからの異音の有無 |
④年式・グレード差 | GDI搭載/非搭載(1.8L SOHCエンジンなど)、ターボの有無、装備の違い(スーパーセレクト4WD-iなど) |
⑤個体差(車両コンディション) | 整備記録簿の内容(特に直近2年)、走行距離、下回りの錆の状態、修復歴の有無 |
頻度×費用×再発リスクで見る、不具合の深刻度
欠点といっても、その深刻度は様々です。ここでは代表的な不具合を「発生頻度」「修理費用」「再発リスク」の3つの軸で評価し、どのリスクを許容できるか考えてみましょう。
- 高頻度・高費用・高リスク(赤信号): 直噴インジェクタの噴霧不良などがここに該当します。アイドリングが極端に不安定だったり、加速時に明確な息継ぎがある場合は、高額な修理費がかかる上、再発の可能性も否めません。こうした個体は、基本的には避けるのが賢明です。
- 中頻度・中費用・中リスク(黄信号): 燃料ポンプの劣化や各種センサー類の不調が挙げられます。今は症状が出ていなくとも、走行距離や年式から予防的に交換が必要になるケースです。購入費用に加えて、これらの予防整備費用を予め見積もっておくことで、安心して乗り始めることができます。
- 低頻度・低費用・低リスク(青信号): 点火プラグやイグニッションコイルの劣化など、定期的なメンテナンスで対応できる消耗品の交換です。これらはどの車にも起こりうることであり、過度に心配する必要はないでしょう。整備記録簿で交換履歴が確認できれば、より安心材料になります。
あなたの使い方に合ったモデルは?用途別推奨パターン
あなたがパジェロイオをどのようなシーンで使いたいかによって、許容できる欠点の種類も変わってきます。
- 街乗り・短距離がメインの方へ: GDIエンジンは、構造上、短距離走行の繰り返し(チョイ乗り)ではインテークバルブなどにカーボンが堆積しやすい傾向があります。もし街乗りがメインなら、比較的リスクの少ない非GDIの1.8L SOHCエンジン搭載モデルを探すのが賢明な選択と言えるでしょう。
- 高速道路での通勤・長距離移動が多い方へ: 定期的に高速走行を行うことは、GDIエンジンのコンディションを良好に保つ上でプラスに働くことがあります。2.0LのGDIエンジンや、1.8L GDIターボモデルの力強い走りを存分に楽しめるでしょう。ただし、燃費と維持費のバランスは常に意識することが大切です。
- 林道走行やアウトドアを楽しみたい方へ: パジェロイオの真価が発揮されるステージです。SS4-i(スーパーセレクト4WD-i:走行中でも2WDと直結でない4WD間の切り替えが可能な本格四駆システム)の性能を重視し、エンジンや駆動系の整備がしっかり行き届いた個体を選びたいところです。多少の外装の傷は冒険の勲章と考え、機関の健康状態を最優先にしましょう。
最終判断フロー(YES/NO分岐)
これまで見てきた要素を踏まえ、最終的に「買い」か「待ち」かを判断するための簡単なフローチャートを提案します。
- 直近2年間の整備記録簿はしっかり残っているか? → NOなら、よほど状態が良くない限り慎重に。
- エンジンは後期型(対策が進んでいるとされる)か? → YESならプラス材料。
- 試乗でアイドリング不安定や息継ぎなどの症状は感じられないか? → YESなら、原因が特定でき、修理費用込みで納得できない限り避けるのが無難。
- 【車両価格+購入後1年間の燃料費+予防整備費】の合計額は予算内か? → YESなら、購入を前向きに検討。
なぜ、ここまで慎重なチェックが必要なのか?
その答えは、パジェロイオ、特にGDIエンジン搭載車が**「いかに良いコンディションを保たれてきたか」**に尽きるからです。前オーナーの乗り方やメンテナンス履歴によって、同じ年式・走行距離でも全く別の車と言えるほど状態に差が出ます。だからこそ、表面的な情報だけでなく、一つ一つの要素を丁寧にチェックし、総合的に判断することが、後悔しないための最善策なのです。
パジェロイオのGDI不具合:典型症状と初期サイン
パジェロイオで最も注意すべきGDIエンジンの不具合。その典型的な症状と、トラブルの初期サインを知っておくことで、中古車選びの精度は格段に上がります。
具体的な症状とは?
まずは、実際にどのような症状が現れるのかを見ていきましょう。これらのサインを見逃さないことが重要です。
発生条件 | 主な症状 |
---|---|
エンジン始動時(特に冷間時) | ・始動直後にエンジン回転数が不安定になる(ハンチング) ・エンストしそうになる |
アイドリング時 | ・ブルブルという不規則な振動が続く ・エンジン回転数が安定しない |
加速時 | ・アクセルを踏んでもスムーズに加速せず、一瞬息継ぎをするような感覚がある ・特定の回転域で力が抜ける感じがする |
その他 | ・エンジンチェックランプの点灯 ・マフラーから黒煙が出る ・以前より明らかに燃費が悪化する |
実際に多くのオーナーから聞かれるのが、特に「冷間時の始動直後の不安定さ」と「加速時の息継ぎ」です。これらの症状は、GDIエンジンの持病とも言えるカーボンの堆積が原因となっていることが多いようです。
トラブルの主な原因
これらの症状は、主に以下の4つの原因が複雑に絡み合って発生します。
- 直噴システムへのカーボン堆積: GDIエンジンは、燃料を直接シリンダー内に噴射するため、吸気バルブ周辺にガソリンが直接かからず、ブローバイガス(エンジン内部の未燃焼ガス)などによって発生したカーボンが堆積しやすいという構造的な特徴があります。これが吸気の流れを阻害し、燃焼を不安定にさせます。
- 燃料圧力の不足: 高圧燃料ポンプの劣化により、正常な燃料圧力が得られなくなると、インジェクタ(燃料噴射装置)が正しく燃料を噴霧できず、パワーダウンやアイドリング不調につながります。
- 点火系の劣化: プラグやイグニッションコイルが劣化すると、正常な火花が飛ばなくなり、失火(ミスファイア)を引き起こします。
- センサー類の異常: O2センサー(排気ガス中の酸素濃度を測るセンサー)やエアフロセンサー(吸入空気量を測るセンサー)が故障すると、ECU(エンジン・コントロール・ユニット)が燃料の量を正しく計算できなくなり、燃焼状態が悪化します。
ステップ別対処法
もし不具合が疑われる場合、一般的に以下のステップで対処が行われます。購入を検討している車にこれらの整備履歴があるかは、重要な判断材料になります。
ステップ | 対処内容 | 工数の目安 | 再発率の目安 |
---|---|---|---|
①初期対応 | 専用の洗浄剤を使った吸気系・燃焼室のカーボン洗浄 | 短 | 中 |
②調整・リセット | ECUの学習値をリセットし、再学習させる | 短 | 中 |
③消耗品交換 | スパークプラグ、イグニッションコイルの交換 | 中 | 低 |
④部品交換 | 高圧燃料ポンプ、インジェクタ、各種センサーの交換 | 長 | 低 |
購入前にできること:将来の出費を抑える賢いチェック術
最も根本的な対策は、インジェクタや吸気ポートを物理的に分解・洗浄することですが、これには高い工賃がかかります。そのため、中古車を選ぶ段階では**「定期的にエンジン洗浄剤を使用していたか」「燃料系の消耗品が交換されているか」**といった整備履歴を確認することが、将来的な出費を抑えるための有効な手段となります。
ワンポイント:納車後にできる手軽なコンディション維持法
口コミでは、高性能な燃料添加剤を定期的に使用することで、エンジンの調子が改善されたという声も見られます。あくまで対症療法的な側面はありますが、1万円以内で試せる手軽なメンテナンスとして、納車後のコンディション維持に役立つ可能性があります。「WAKO’Sのフューエルワンなどを定期的に使用しているオーナーもいるようです」といった情報も参考になるでしょう。
パジェロイオの燃費とハイオク費用インパクト
パジェロイオの維持費を考える上で、燃費は避けて通れないテーマです。特にGDIエンジンはハイオク指定のモデルが多く、燃料費がどのくらいかかるのかは気になるところです。
実燃費の評価基準
パジェロイオが販売されていた時代のカタログ燃費(10・15モード)は、現在のWLTCモードに比べて実態との乖離が大きいため、あまり参考になりません。そこで、オーナーの実際の給油記録が集計されている「e燃費」などのデータを基準に考えるのが現実的です。
- 実燃費の中央値レンジ: おおむね 9 km/L ~ 13 km/L の範囲に多くの個体が分布しています。この数値は実際のユーザー投稿サイトの傾向とも合致しており、信頼できる目安と言えます。
条件別実燃費レンジ
乗り方によって燃費は大きく変動しますが、特に注意したいのが短距離走行の繰り返しです。GDIエンジンはエンジンが十分に温まらないうちに走行を終えることが多いと、燃費が悪化する傾向にあります。
- 市街地走行: ストップ&ゴーが多いため燃費は悪化し、7~9 km/L 程度になることもあります。
- 郊外走行: 比較的スムーズに流れる環境では、10~12 km/L 前後が期待できます。
- 高速走行: 一定速度で巡航できるため最も燃費が良く、12~14 km/L 以上を記録することもあります。
年間燃料費の差額シミュレーション
GDIエンジン(1.8L GDIターボ、2.0L GDI)は基本的にハイオク仕様です。一方、2002年以降に追加された1.8L SOHCエンジンはレギュラー仕様となります。もしレギュラーガソリンを指定に反してGDIエンジンに使用すると、ノッキング(異常燃焼)を引き起こし、最悪の場合エンジンを破損させる可能性があるため、必ず指定された油種を給油してください。
ここでは、ハイオクとレギュラーの価格差を1Lあたり10円と仮定し、年間走行距離別に燃料費がどのくらい変わるかシミュレーションしてみます。(実燃費は10km/Lと仮定)
年間走行距離 | 燃料消費量 | レギュラー車との年間差額(概算) |
---|---|---|
10,000 km | 1,000 L | 約 10,000 円 |
15,000 km | 1,500 L | 約 15,000 円 |
20,000 km | 2,000 L | 約 20,000 円 |
選び方のポイント
年間で見ると、決して無視できない金額差になります。この差額を許容できるかどうかが、GDIモデルを選ぶ上での一つの判断基準となるでしょう。もし燃料費を少しでも抑えたいのであれば、後期に追加されたレギュラーガソリン仕様の1.8L SOHCエンジン搭載モデルが有力な選択肢となります。
燃費を悪化させないための4つの習慣
劇的な改善は難しいですが、以下の基本的なメンテナンスや運転を心がけることで、燃費の悪化を防ぎ、良好な状態を維持することが可能です。
- 吸気系の清掃: スロットルボディなどを定期的に清掃し、空気の流れをスムーズに保つ。
- 点火系のリフレッシュ: スパークプラグを定期的に交換する。
- タイヤの空気圧管理: 適正な空気圧を保つことは、転がり抵抗を減らし燃費向上に直結します。
- 丁寧な運転: 急発進・急加速を避け、スムーズな運転を心がける。
維持費と部品価格が高くつく場面
中古車であるパジェロイオを長期的に維持していくためには、どのような修理に費用がかかりやすいのかを事前に把握しておくことが大切です。
費用項目の棚卸し
車の維持には、様々な費用がかかります。大きく分けると以下のようになります。
費用項目 | 頻度 | 概算費用レンジ |
---|---|---|
定期整備 (オイル、フィルター類) | 高 | 5,000円~20,000円/回 |
消耗品 (タイヤ、ブレーキパッド) | 中 | 40,000円~100,000円/交換時 |
予防整備 (燃料ポンプ、センサー類) | 低 | 50,000円~150,000円/箇所 |
車検費用 | 2年に1度 | 80,000円~150,000円 |
自動車税 | 毎年 | 39,500円~ (1.8L/2.0L) ※重課含む |
任意保険 | 毎年 | 年齢・等級による |
高額化しやすい修理
特に以下の修理は、部品代や工賃が高額になる傾向があります。
- GDI高圧燃料ポンプの交換: 部品代だけで10万円を超えることもあり、最も高額な修理の一つです。
- オートマチックトランスミッション(AT)の不調: 変速ショックが大きい、滑りがあるといった症状は、オーバーホールや載せ替えが必要となり、数十万円の費用がかかる可能性があります。
- スーパーセレクト4WD-iの不具合: 駆動系の切り替えがスムーズにできない場合、アクチュエーター(作動装置)などの修理が必要になります。
- 足回り部品の交換: ショックアブソーバーや各種ブッシュ類(緩衝材)の劣化は乗り心地に直結します。一式交換すると10万円を超える費用がかかります。
【要覚悟!】年単位でかかる維持費のリアル
仮に大きな故障がなかったとしても、税金や保険、基本的なメンテナンスだけで年間20万円~30万円程度は見ておく必要があるでしょう。これに加えて、高額修理が発生する可能性を考慮し、購入後数年間は、突発的な出費に備えて10万円~20万円程度の予算を別途確保しておくと安心です。特に購入後1年、3年、5年といった節目で、どのようなメンテナンスが必要になるか長期的な視点で計画を立てることが重要です。
維持費を賢く抑える3つのコツ
維持費を賢く抑えるためには、いくつかの方法があります。
- 社外品・リビルト品(再生部品)の活用: 純正部品にこだわらず、品質の確かな社外品やリビルト品を使えば、部品代を大きく節約できる場合があります。
- 信頼できる整備工場を見つける: ディーラーだけでなく、GDIエンジンに詳しい整備工場や、親身に相談に乗ってくれる町の修理工場を見つけておくことが、結果的に費用抑制につながります。
- 予防整備の実施: 故障してから直すのではなく、劣化しやすい部品を計画的に交換していく「予防整備」を心がけることで、結果的に大きなトラブルを防ぎ、総額を抑えることができます。
年式・グレードで変わるリスク:パジェロイオのGDI非搭載の見分け方
パジェロイオは、約9年間の販売期間中にいくつかの改良が行われており、年式やグレードによって搭載されているエンジンや装備が異なります。特にリスクを左右するのがGDIエンジンの有無です。
エンジン種別と年式の関係
パジェロイオに搭載された主なエンジンは以下の通りです。この変遷を知ることが、モデル選びの第一歩です。
販売時期 | 主なエンジン | 特徴 |
---|---|---|
1998年~ | 2.0L GDI (4G94) | 自然吸気(NA)のGDIエンジン。ハイオク仕様。 |
2000年7月~ | 1.8L GDIターボ (4G93T) | 世界初の1.8L GDIターボとして追加。高出力モデル。ハイオク仕様。 |
2002年9月~ | 1.8L SOHC (4G93) | GDI非搭載のエンジン。レギュラーガソリン仕様で、GDI関連の故障リスクがないのが最大のメリット。 |
もし、あなたがGDIエンジン特有の不具合をどうしても避けたいのであれば、2002年以降に追加された1.8L SOHCエンジン搭載モデルが最もおすすめです。パワーは他のGDIモデルに劣りますが、信頼性と維持費の面で大きなアドバンテージがあります。
GDI非搭載モデルの見分け方
では、どうすればGDI非搭載モデルを確実に見分けられるのでしょうか。最も確実な方法は車検証を確認することです。
- 「原動機の型式」欄を確認: ここでエンジンの種類が特定できます。
- 4G93: GDI非搭載の1.8L SOHC(レギュラー仕様)か、1.8L GDIターボ(ハイオク仕様)のどちらかです。年式や後述の型式で判断します。
- 4G94: 2.0L GDI(ハイオク仕様)です。
- 「型式」欄を確認: 型式と年式を組み合わせることで、より正確に判別できます。
「H6」
から始まる型式(例: H66W): 1.8L SOHC(非GDI)モデル。「H7」
から始まる型式(例: H76W, H77W): 2.0L GDIモデルか、1.8L GDIターボモデル。
- エンジンカバーを見る: 現車確認が可能であれば、エンジンカバーに「GDI」や「GDI TURBO」のロゴがあるかどうかで一目瞭然です。
型式の例 | エンジン | 販売時期の目安 |
---|---|---|
GH-H76W | 1.8L GDIターボ (4G93T) | 2000.6 – 2002.9 |
TA-H77W | 2.0L GDI (4G94) | 2002.9 以降 |
(画像は国土交通省の電子車検証サンプルです。「型式」と「原動機の型式」を確認し、販売店の表記と照合しましょう)
総合的な選択指針
これらの情報を元に、あなたのニーズに合ったモデルを選択しましょう。
- リスク回避・維持費重視なら: 迷わず2002年以降の1.8L SOHC(非GDI)モデルを。
- パワーと走りの楽しさ重視なら: 1.8L GDIターボや2.0L GDIモデル。ただし、GDIのリスクを十分に理解し、燃料系の整備履歴がしっかりした個体を吟味する必要があります。
- バランス重視なら: GDI搭載車の中でも、熟成が進んだ後期型(2002年以降)の2.0L GDIモデルで、かつコンディションの良い個体を探すという選択肢もあります。
パジェロイオの年式差と見極めポイント
パジェロイオは、大きく前期・中期・後期に分けられ、それぞれに特徴があります。
時期 | 主な変更点 | メリット | デメリット/注意点 |
---|---|---|---|
前期 (1998年~) | 2.0L GDIエンジンが主力。 | 流通量が多く、比較的安価な個体が見つかりやすい。 | 初期型GDIのため、対策が進んだ後期型に比べるとトラブルのリスクは相対的に高い傾向。 |
中期 (2000年~) | 2.0L GDIエンジンが改良。1.8L GDIターボを追加。内外装の変更。 | パワーアップしたターボモデルが選択可能に。選択肢の幅が広がる。 | ターボモデルは燃費やメンテナンス面でよりシビアな管理が求められる。 |
後期 (2002年~) | 1.8L SOHC(非GDI)モデルを追加。 GDIエンジンも熟成が進む。 | 最もリスクの低い非GDIモデルが選択可能。GDIモデルも比較的安心感が高い。 | 人気があり、価格は高めの傾向。 |
中古車としてこれから長く乗ることを考えると、やはり後期型、特に1.8Lの非GDIモデルが最も安心感が高く、おすすめしやすいです。価格が少し高くても、購入後の予期せぬトラブルや修理費用を考えれば、結果的に賢い投資と言えるでしょう。
ターボ/ディーゼルの有無と誤解(日本仕様の整理)
インターネット上の情報を見ていると、「パジェロイオのディーゼル」といった記述を見かけることがありますが、これは誤りです。ここで日本国内で販売されたパジェロイオのエンジンラインナップを正確に整理しておきましょう。
- ガソリンエンジンのみ: 日本国内で正規販売されたパジェロイオに、ディーゼルエンジンの設定はありませんでした。
- ターボエンジンは存在: 2000年7月から、1.8L GDIエンジンにターボチャージャーを組み合わせた高出力グレードが存在しました。
- 海外仕様との混同: 海外では「パジェロピニン」等の名称で販売されていましたが、海外仕様も基本はガソリンエンジンで、ディーゼル設定は主要な資料では確認できません。ネット上の不確かな情報と混同しないよう注意が必要です。
中古で失敗しない実践チェック:パジェロイオ 欠点の事前洗い出し
ここからは、実際に中古車販売店などで車両を確認する際の、具体的なチェック手順を解説します。
【事前調査から見積もりまでの流れ】
- ネットでの情報収集: 気になる車両を見つけたら、まずは年式とグレードからGDI搭載の有無などを把握します。
- 販売店への問い合わせ: 車両の状態について、事前に電話やメールで質問します。「GDIエンジンの整備履歴(インジェクタ洗浄など)はありますか?」「直近の整備記録簿はありますか?」など、核心に迫る質問を投げかけてみましょう。
- 現車確認: 以下の「故障事例から学ぶ購入前チェック」を参考に、車両を細かく確認します。
- 試乗: 「試乗・診断の手順」に沿って、エンジンやミッションの状態を体感します。
- 見積もり取得: 車両本体価格だけでなく、諸費用を含めた「支払総額」の見積もりを取得します。保証の有無や内容もしっかり確認しましょう。
パジェロイオの故障事例から学ぶ購入前チェック
過去の故障事例を知ることは、弱点を見抜くための最良の教材です。
チェック項目 | 見るべきポイント |
---|---|
エンジンルーム | オイル漏れや滲みはないか。冷却水の色や量は適正か。エンジン始動時に異音はしないか。 |
下回り | マフラーやフレームに過度な錆や腐食はないか。特に雪国で使われていた車両は要注意。オイルパンなどからのオイル漏れはないか。 |
足回り | タイヤは均等に摩耗しているか(片減りはアライメントの狂いや足回りの問題を暗示)。停車中に車体を揺すってみて、異音や過度な揺れがないか。 |
電装系 | エアコンはしっかり冷えるか/温まるか。パワーウィンドウや電動ミラーはスムーズに動くか。警告灯が点灯していないか。 |
内装 | 雨漏りの跡(シミやカビ臭さ)はないか。シートのへたり具合は走行距離相応か。 |
ワンポイントアドバイス
現車確認の際は、スマートフォンのライト機能を使って、暗くて見えにくいエンジンルームの下側や、下回りをしっかり照らして確認することをお勧めします。プロの整備士でなくとも、明らかなオイル漏れやひどい錆は発見できるはずです。
試乗・診断の手順
試乗は、書類や見ただけではわからない車の健康状態を知る絶好の機会です。
- エンジン始動: 冷えた状態からエンジンをかけてもらいましょう。始動直後のアイドリングが不安定でないか、異音はしないかを確認します。
- 平坦路での走行: Dレンジに入れ、ブレーキを離した瞬間の動き出し(クリープ現象)はスムーズか。ゆっくりと加速し、変速ショックが大きすぎないかを確認します。
- 加速テスト: 安全な場所で、少し強めにアクセルを踏んでみましょう。この時、息継ぎやノッキングのような異常な振動がないかに全神経を集中させてください。
- 様々な速度域: 低速、中速、高速(可能であれば)と、様々な速度で走行し、特定の速度で異音や振動が出ないかを確認します。
- 診断機(OBD2スキャナー): もし可能であれば、OBD2ポートに診断機を接続させてもらいましょう。エンジンにエラーコードが記録されていないか、失火がカウントされていないかなどを確認できれば、より安心です。
試乗時の心得
短時間の試乗では、車の本質を見抜けないこともあります。販売店に許可を取り、可能であれば少し長めに、様々なパターンの道を走らせてもらうのが理想です。焦らず、じっくりと車との対話を楽しみましょう。
パジェロイオ 欠点の基礎情報:生産終了・排気量・ナンバー区分
最後に、パジェロイオに関する基本的な情報を整理しておきます。これらの知識は、他の車種と比較検討する際にも役立ちます。
- 生産時期: 日本国内での販売は、1998年6月から2007年までです。最終モデルでも15年以上が経過していることを念頭に置いておく必要があります。
- 排気量: 国内仕様は、**1.8L(1,834cc)と2.0L(1,999cc)**の2種類が基本です。
- ナンバー区分: 全長4,700mm、全幅1,700mm、全高2,000mm、排気量2,000cc以下の「小型乗用車」の規格(国土交通省の定義参照)に収まるため、全グレードが5ナンバーとなります。これにより、自動車税などの維持費が3ナンバー車に比べて若干安くなるメリットがあります。
パジェロミニとの違い
名前が似ているため混同されがちですが、「パジェロイオ」と「パジェロミニ」は全く別の車です。
パジェロイオ | パジェロミニ | |
---|---|---|
分類 | 小型乗用車 (5ナンバー) | 軽自動車 (軽ナンバー) |
排気量 | 1.8L / 2.0L | 660cc |
ボディサイズ | 大きい | 小さい |
主な用途 | 街乗りから本格オフロードまで | 街乗り、林道など小回りを活かした走行 |
維持費 | 普通車として標準的 | 軽自動車なので安い |
検索する際や、人と話す際には、この2台を明確に区別することが重要です。
【パジェロイオの欠点】後悔しないための最重要チェックリスト10
この記事でお伝えした最も重要なポイントを10個にまとめました。中古のパジェロイオ選びで迷った時は、このリストを思い出してください。
- 最大の注意点はGDIエンジン: カーボン堆積によるアイドリング不調や加速時の息継ぎが最大の欠点。
- リスク回避なら非GDIモデル: 2002年以降の1.8L SOHC(4G93)搭載車が最も安心。レギュラーガソリン仕様なのも魅力。
- 整備記録簿は最重要書類: 特にGDIモデルは、前オーナーのメンテナンス履歴が車両の寿命を左右する。燃料系の整備履歴は要確認。
- 国内仕様にディーゼルは存在しない: 「パジェロイオのディーゼル」という情報は誤り。国内はガソリン車のみ。
- ターボは1.8L GDI: 2000年に追加されたターボは2.0Lではなく1.8L(4G93T)。2.0L(4G94)は自然吸気GDI。
- 識別の鍵は車検証にあり: 「原動機の型式(4G93/4G94)」と「型式(H6/H7系)」を見れば、エンジンの種類と燃料(ハイオク/レギュラー)が特定できる。
- GDIはハイオク必須: GDIエンジン(ターボ含む)にレギュラーガソリンを入れるのは厳禁。エンジントラブルの原因になる。
- 購入後の修理費も予算に: 古い車なので、購入価格とは別に、高圧燃料ポンプなどの高額修理に備えて10~20万円の予備費があると安心。
- 全車5ナンバーでお得: 維持費に関わるナンバー区分は、全グレードで経済的な5ナンバー。
- 試乗で「息継ぎ」を確認: 書類や見た目ではわからないエンジンの状態は、必ず試乗して、特に加速時のスムーズさを体感することが不可欠。
参考・出典情報