「ヴォクシーの8人乗りで後悔しないために」、購入前に知っておきたい大切なポイントがあります。
「家族や友人と大人数で乗れる」という8人乗りの安心感は、何にも代えがたい大きな魅力です。しかしその一方で、日常のふとした瞬間に「7人乗りにしておけばよかったかも…」と感じてしまう後悔ポイントが隠れているのも事実。その差は、カタログのスペック表だけではなかなか見えてきません。
いちユーザー”の視点から、ヴォクシーの7人乗りと8人乗りを徹底比較。メリット・デメリットを公平に解説し、あなたの家族に本当にフィットする一台を見つけるお手伝いをします。
この記事を読めば、以下のことがわかります。
- 2列目の快適性や車内移動のしやすさ(動線)の差
- 8人乗りでは選べないグレードや4WD(E-Four)の制約
- 子育て世代が特に注意したい積載・チャイルドシート事情
- あなたの使い方に本当に合うのは7人乗りか8人乗りかの見極め方
【ヴォクシー8人乗りの後悔ポイント】①快適性
ヴォクシーの8人乗りは、7人乗りに比べて2列目シートのスライド量が40mm短く、シート間のウォークスルー(通路)がありません。この違いが、後部座席の快適性や車内での移動のしやすさに大きく影響し、特に小さなお子さんがいるご家庭では「こんなはずじゃなかった…」と感じる原因になるかもしれません。
7人乗りとの広さ・乗り心地の違い
ミニバンを選ぶとき、後部座席の広さはとても気になりますよね。実はヴォクシーは、7人乗りと8人乗りで2列目の足元スペースの広さに違いがあります。
具体的には、シートを一番後ろまで下げた時のスライド量が、
- 7人乗り:745mm
- 8人乗り:705mm
と、7人乗りの方が40mm(4cm)も長くスライドするんです。
たった4cmと感じるかもしれませんが、この差が意外と大きいんです。例えば、2列目に座った大人が足を組んだり、前の座席下に荷物を置いたりするときに、この余裕が「快適さ」に直結します。
ウォークスルー不可というデメリット
7人乗りと8人乗りの最も大きな違いが、車内の**「ウォークスルー」**ができるかどうかです。
- 7人乗り:2列目シートの間に185mm(約18.5cm)の通路があり、運転席・助手席から3列目までスムーズに移動できます。
- 8人乗り:2列目がベンチシートなので、この通路がありません。3列目に行くには、一度2列目シートを倒して前にスライドさせる「チップアップ」という操作が必要です。
雨の日に、お子さんをチャイルドシートに乗せてから、自分は外に出ることなく運転席に移動したい…なんてシーンを想像してみてください。7人乗りならサッと移動できますが、8人乗りだと少し手間がかかります。この日常のちょっとした手間の積み重ねが、後悔につながることがあるんです。
快適装備が選べないデメリット
長距離ドライブや、車内でちょっと休憩したいときに嬉しいのが、オットマンやシートヒーターといった快適装備ですよね。
現行ヴォクシーでは、こうしたリラックスできる装備の多くが7人乗りの上級グレード「S-Z」専用のオプションとなっています。
- 足を伸ばせる**「オットマン(2WD限定)」**
- 冬に嬉しい**「シートヒーター(2列目)」**
- 飲み物や小物を置ける**「折りたたみ式大型サイドテーブル」**
8人乗りでは、これらの装備を選ぶことができません。「家族には少しでも快適な移動をさせてあげたい」という想いが強い方ほど、この装備の差は大きなポイントになるでしょう。
▼ 「毎日の使いやすさ」と「たまにある特別な日」のどちらを優先しますか?
8人乗りの魅力は、なんといっても「最大8人乗れる」という安心感です。でも、もし6人以上で乗るのが年に数回だとしたら、そのために毎日の買い物や送迎で感じる「通路があったら楽なのに…」という小さなストレスを許容できるか、一度考えてみるのがおすすめです。「もしも」の安心感より「いつも」の快適さを選んだ方が、満足度は高くなることが多いかもしれません。
▼ カタログの数字以上に「体感」の差は大きいかも
スライド量「4cm」、通路「約18.5cm」という数字だけ見ると小さく感じるかもしれません。でも、実際にディーラーで試乗してみると、この差が想像以上に大きいことに驚かされます。特にお子さんと一緒に乗り込んでみて、車内でのお世話や移動をシミュレーションしてみると、どちらが自分たちの家族に合っているか、きっと実感できるはずです。
【ヴォクシー8人乗りの後悔ポイント】②グレード
ヴォクシーの8人乗りは、主に「S-G」グレードに設定されているため、最上級グレードの「S-Z」を選ぶことができません。また、雪道などに強いハイブリッドの4WD(E-Four)も設定がない(ただしガソリン4WDは設定あり)ため、装備や走行性能にこだわりたい方にとっては、希望の組み合わせが作れないという点が後悔につながる可能性があります。
最上級グレード「S-Z」は選択不可
ヴォクシーには、大きく分けて「S-G」と、より豪華な「S-Z」という2つのグレードがあります。そして、8人乗りが選べるのは、基本的に「S-G」グレードのみとなっています(2025年9月時点)。
最上級グレードの「S-Z」には、標準で備わっている魅力的な装備がたくさんあります。
- 後席用の独立したオートエアコン
- 12個のスピーカーを備えた本格的なオーディオシステム
- 車体の横にあるスイッチでも開閉できるパワーバックドア(S-Zのメーカーパッケージオプション)
これらの装備に魅力を感じても、8人乗りを選んだ時点で諦めなくてはならない、というわけです。
ハイブリッドの4WD(E-Four)がない
「家族でスキーに行きたい」「坂道や雨の日の運転が少し心配」という方にとって、4WDは心強い味方ですよね。
ヴォクシーのハイブリッド車には「E-Four」という、モーターで後輪を駆動する賢い4WDシステムが用意されています。しかし、残念ながら8人乗りでは、このハイブリッドのE-Fourを選ぶことができません。
組み合わせ | 7人乗り | 8人乗り |
ハイブリッド × E-Four (4WD) | 〇 | × |
ガソリン × 4WD | 〇 | 〇 |
もし、「燃費の良いハイブリッド」で、なおかつ「安定性の高い4WD」、そして「8人乗り」という3つの条件をすべて満たしたい場合、現行ヴォクシーではその組み合わせが存在しない、ということになります。
価格差なし?装備満足度の違い
面白いことに、同じ「S-G」グレード、同じ駆動方式(2WDなど)であれば、7人乗りと8人乗りの車両本体価格は、基本的に同じなんです。
価格が同じなら、一人でも多く乗れる8人乗りの方がお得に感じるかもしれません。しかし、前述の通り、7人乗りにしか設定のない快適装備(オットマンなど)や、選べるグレードの幅広さを考えると、一概にそうとは言えません。「同じお金を出すなら、もっと満足度の高い装備が選べる7人乗りにしておけばよかった…」と感じてしまう可能性もあるのです。
▼ リセールバリューへの影響も少しだけ気になるポイント
これはあくまで個人的な考察ですが、中古車市場では、より装備が充実していて、幅広いニーズに応えられる仕様の方が人気が出やすい傾向があります。特に雪国など特定の地域では、ハイブリッドの4WD(E-Four)は非常に需要が高いです。8人乗りではE-Fourが選べないため、将来車を売却するときのことを少しだけ考えると、7人乗りの方が選択肢として有利に働く場面もあるかもしれません。
▼ 「何ができないか」を確認することが大切
車選びでは、「何ができるか」に目が行きがちですが、「何ができないか」を確認することも同じくらい重要です。8人乗りを選ぶ際は、「S-Zグレードは選べない」「ハイブリッドのE-Fourは選べない」という制約をしっかり理解した上で、「それでも自分にとっては8人乗りの方がメリットが大きい」と納得できるかどうかが、後悔しないためのカギになります。
【ヴォクシー8人乗りの後悔ポイント】③動線と積載
ヴォクシーの8人乗りは、2列目の中央に通路がないため、お子様のお世話や荷物の積み下ろしといった日常の様々な場面で、7人乗りにはない小さな手間が積み重なることがあります。特にチャイルドシートを複数設置する場合や、3列目シートを使う際の荷物の置き方で、後から不便さを感じるかもしれません。
荷室の使い勝手と動線のリアル
7人乗りと8人乗りでは、車内の人の動きや荷物の積みやすさに大きな違いが生まれます。その理由は、やはり2列目シートの間の「通路」の有無です。
シーン | 7人乗り(通路あり) | 8人乗り(通路なし) |
子どものお世話 | 通路を通って後席へ移動し、スムーズにお世話できる。 | いちいちドアを開けるか、シートを乗り越える必要がある。 |
荷物の置き場所 | 2列目と3列目の間の通路に、長い荷物やベビーカーを置ける。 | 大きな荷物は3列目の足元か荷室に限定されがち。 |
雨の日の乗り降り | スライドドアから乗り込み、濡れずに運転席へ移動できる。 | シートを乗り越える必要があり、少し大変。 |
例えば、3世代でのお出かけを想像してみてください。3列目におじいちゃん、おばあちゃんが座る場合、8人乗りだと荷物(例えばベビーカー)を載せるために2列目シートを一度倒す必要があり、乗り降りのたびに少し手間がかかります。7人乗りなら、通路にベビーカーを置いたまま、スムーズに乗り降りしてもらう、といったスマートな使い方ができるんです。
チャイルドシート3つ並びの注意点
小さなお子さんがいるご家庭にとって、チャイルドシートの使い勝手は死活問題ですよね。
8人乗りの2列目ベンチシートは3人掛けですが、チャイルドシートを3つ横並びで設置するのは、製品の組み合わせによっては非常に難しいのが現実です。シートベルトのバックルの位置や、ISOFIX固定具の場所が干渉してしまうことがあるためです。
無理なく設置できたとしても、子どもたちを乗せたり降ろしたりする際に、真ん中の席がとても窮屈になってしまうことも。購入前には、必ず使う予定のチャイルドシートを持って行って、ディーラーの実車で取り付けられるか試させてもらうことを強くおすすめします。
▼ 「想像力」が後悔を防ぐカギになります
お店でピカピカの車を見ると、ついつい良いところばかりに目が行ってしまいますよね。でも、一度立ち止まって、「1週間後、自分たちがこの車を使っている姿」を具体的に想像してみてください。月曜の朝の保育園送迎、水曜のスーパーでのまとめ買い、雨が降る金曜のお迎え…。そうした日常のシーンを思い浮かべると、自分たちの家族にとって「通路」が必要かどうか、答えが見えてくるはずです。
▼ 取扱説明書のチャイルドシートのページは必読です
安全に関わることなので、少し硬い話になりますが、車の取扱説明書には、チャイルドシートの取り付けに関する非常に重要な情報が記載されています。どの座席に、どのタイプの固定方法(ISOFIX、シートベルト)が使えるのか、必ず事前に公式のマニュアルで確認しておきましょう。これは7人乗り、8人乗りに関わらず、お子さんを乗せるすべてのドライバーにとって大切なことです。
ヴォクシー7人乗りか8人乗りか:向いてる人【どっち】
ヴォクシーの7人乗りと8人乗り、どちらを選ぶべきか。その答えは、ご自身の家族構成やライフスタイルの中にあります。「日常の快適さ」を重視するなら7人乗り、「乗車人数の最大値」を優先するなら8人乗りが基本的な考え方ですが、具体的なシーンを思い浮かべながら、ご家庭にピッタリの一台を見つけていきましょう。
7人乗りが向いているのはこんな人
ひと言でいうと**「4~5人家族で、毎日の使い勝手と快適性を重視したい人」**です。
- 家族4~5人での利用がメイン
- 2列目のウォークスルー(通路)は、人の移動だけでなく、荷物置き場としても大活躍。人と荷物が車内でうまく共存でき、週末のまとめ買いやアウトドアの準備がとてもスムーズになります。
- 後部座席の快適さにこだわりたい
- オットマンやシートヒーター、大型サイドテーブルといった、まるでリビングのようにくつろげる装備を選べるのは7人乗り(S-Z)の特権です。
- 停車中にお子さんのお世話をする機会が多い
- 運転席からサッと2列目に移動できる動線は、小さなお子さんがいるご家庭にとって何よりの魅力です。
- 雪道や坂道を走る機会がある
- 燃費と走りを両立したハイブリッド4WD(E-Four)が選べるのは7人乗りだけです。
8人乗りが向いているのはこんな人
こちらは**「6人以上で乗る機会が頻繁にあり、座席数をとにかく優先したい人」**です。
- 常に6人以上で乗ることが多い
- お子さんの友達を乗せての習い事の送迎や、3世代でのお出かけなど、2列目に3人座れることのメリットを最大限に活かせます。
- 3列目シートの使用頻度が高い
- たまにしか使わないのではなく、日常的に3列目まで人が座る使い方をするのであれば、8人乗りの価値は非常に高まります。
- 装備よりも価格と人数のバランスを重視
- S-Gグレードが中心となるため、装備はS-Zに一歩譲りますが、その分、価格を抑えつつ最大乗車人数を確保できるという合理的な選択ができます。
後悔しないための最終チェックリスト
最終的にどちらにするか決めかねているなら、ご自身の使い方を振り返ってみましょう。
チェック項目 | 7人乗り寄り | 8人乗り寄り |
Q1. 6人以上で“同時に”乗る頻度は? | 月に1~2回未満 | 毎週のようにある |
Q2. 後席でのお世話や車内移動の頻度は? | ほぼ毎日ある | あまりない |
Q3. 雪道や山道を走りますか? | はい(E-Fourが欲しい) | いいえ |
Q4. 2列目のオットマンやヒーターは必要? | ぜひ欲しい! | なくても大丈夫 |
Q5. ベビーカーや長尺物をよく積みますか? | はい(通路が便利そう) | いいえ |
▼ 「大は小を兼ねない」のがミニバンのシート選び
洋服などでは「大は小を兼ねる」と言いますが、ミニバンのシート選びは少し違うかもしれません。年に数回のために8人乗りを選んだ結果、残りの350日以上で「通路があれば…」と感じ続けるのは、少しもったいないですよね。ご自身のカーライフで、最も頻度の高いシーンを思い浮かべ、そこで一番快適なのはどちらかを考えてみるのが、後悔しないための近道だと思います。
▼ 試乗では「運転」だけでなく「生活」を試してみよう
ディーラーに行ったら、ぜひ運転するだけでなく、家族みんなで後部座席に座ってみてください。実際にチャイルドシートの付け外しを試したり、2列目シートを倒したり、ウォークスルーを通り抜けてみたり…。そうやって「運転」ではなく「家族の生活」をシミュレーションすることで、カタログだけでは決して分からない、ご家庭にとっての「正解」が見つかるはずです。