ランクル(ランドクルーザー)のガソリンとディーゼル、どっちを選ぶべきか?」、特にリセールの価値を考えると、この問題は多くの方を悩ませるポイントではないでしょうか。パワフルで経済的なディーゼルか、静かでメンテナンスがしやすいガソリンか。初期費用や乗り心地はもちろん、数年後に手放す時の価値まで見据えた賢い選択をしたいですよね。
人気のランドクルーザー70、250、300の各モデルでは、リセール市場の傾向にそれぞれ特徴があります。ガソリンが有利な点、ディーゼルが有利な点には、それぞれメリットとデメリットが存在し、一概に「こちらが良い」とは言えません。
この記事では、単純なスペック比較だけでなく、「リセールバリュー」という重要な視点から両者を徹底比較。その他、維持費の違いや、どのような使い方をする人にそれぞれが「向いている人」なのかを分かりやすく解説し、最終的な結論としてあなたのカーライフに最適な一台を選ぶお手伝いをします。
この記事を読めば、以下の5つのことがわかります。
- ランドクルーザー70、250、300、モデル別のリセールバリュー比較
- ガソリン車のメリット・デメリットと、どんな人に向いているか
- ディーゼル車のメリット・デメリットと、どんな人に向いているか
- 短期保有と長期保有でどちらのリセールが有利になるかの傾向
- リセールまで考えた、あなたに最適なランクルの賢い選び方の結論
ランクルのディーゼルvsガソリン【リセール比較】
ランドクルーザーを選ぶとき、多くの人が悩むのが「ディーゼル」と「ガソリン」、どちらのエンジンを選ぶかという点です。特に、将来手放すときの価値、いわゆる「リセールバリュー」は気になるところですよね。ここでは、人気の70、250、300シリーズごとに、ディーゼルとガソリンのリセール価値がどう違うのかを、初心者の方にも分かりやすく比較していきます。
ランドクルーザー70の場合
ランドクルーザー70は、日本国内で再販売されたモデルに関して、2.8Lのディーゼルエンジン一択となっています。そのため、ガソリン車との比較はできませんが、このディーゼルモデルのリセールバリューがどうなっているのか見ていきましょう。
実は70の市場は少し特別で、新車価格570万円に対して、中古車市場では700万円~800万円台で取引されるなど(2025年7月時点の相場例)、新車価格を大きく上回るプレミア価格が続いています。
項目 | 内容 | 補足 |
エンジン | 2.8L 直列4気筒ディーゼル | 日本仕様はディーゼルのみ |
新車価格 (AX) | 5,700,000円(税込) | 価格は改定される場合があります |
1年後の残価率 (参考例) | 約123~140% | 新車価格を大幅に超える価値 |
燃費 (WLTCモード) | 10.1km/L |
この人気と希少性から、2025年7月時点で多くの販売店が受注を停止していると報道されています。
▼車選択ガイドの考察
70系は「乗りたい」という需要に対して供給が全く追いついていないため、もはや移動手段というより資産としての側面が強くなっている印象です。この熱狂的な人気は、しばらく続く可能性が高いかもしれませんね。
ランドクルーザー250の場合
ランドクルーザー250では、2.7Lガソリンエンジンと2.8Lディーゼルエンジンが用意されており、どちらを選ぶかによってリセールバリューに面白い傾向が見られます。グレード構成は、最上級の「ZX」とベースの「GX」がディーゼル専用、「VX」はガソリンとディーゼルの両方が設定されています。
発売から1年程度という短い期間で見ると、残価「率」ではガソリン車がディーゼル車を上回るというデータが出ています。これは、ガソリン車の方が新車価格が安いため、価値が残っている割合(%)が高く計算されるためです。
モデル (VXグレード参考) | 2.7L ガソリン | 2.8L ディーゼル |
新車価格の目安 | 約545万円 | 約630万円 |
燃費 (WLTCモード) | 7.5km/L | 11.0km/L |
1年後の残価率 (参考例) | 約127~132% | 約116% |
※残価率は走行距離や車両の状態、時期によって変動する相場データに基づく参考値です。
▼車選択ガイドの考察
「少しでも安く買って、高く売りたい」と考える短期的な視点では、ガソリンモデルはとても賢い選択に見えます。一方で、最上級の装備を求めるならディーゼルのZXグレード一択となるため、何を重視するかで選択が変わってきそうです。
ランドクルーザー300の場合
ランドクルーザー300は、3.5Lのガソリンツインターボと3.3Lのディーゼルツインターボという、どちらも非常にパワフルなエンジンが設定されています。300のリセール市場は複雑ですが、最近のデータを見ると3~4年落ちのタイミングではガソリン車の残価率がディーゼルを上回るという興味深い例も見られます。
モデル (ZXグレード参考) | 3.5L ガソリン | 3.3L ディーゼル |
燃費 (WLTCモード) | 8.0km/L | 9.7km/L |
3年後の残価率 (参考例) | 約129% | 約115% |
4年後の残価率 (参考例) | 約143% | 約111% |
※残価率は走行距離や車両の状態、時期によって変動する相場データに基づく参考値です。
ただし、ランクル300は盗難リスクが非常に高い車種としても知られており(4年連続で車名別盗難ワースト1)、リセールバリューを維持するためには厳重な防犯対策が不可欠です。
▼なぜ分析
ガソリン車の残価率が高い背景には、静かでスムーズな乗り心地を好む国内ユーザーの需要や、発売当初の熱狂的な人気が影響しているのかもしれません。大切な愛車を守るため、物理的なハンドルロックやタイヤロック、電波を遮断するリレーアタック対策グッズなどを組み合わせることが推奨されます。
ディーゼルvsガソリンのリセール結論
これまでの情報をまとめると、ランクルのリセールバリューは「どのモデルを、どのくらいの期間乗るか」によって、ガソリンとディーゼルのどちらに軍配が上がるかが変わってきます。
モデル | 短期リセール | 長期保有・実用性 |
70系 | ディーゼル一強(国内はディーゼルのみ) | ディーゼル一強 |
250系 | ガソリン優勢の傾向 | ディーゼルが堅調 |
300系 | ガソリン優勢の傾向 | ディーゼルが堅調 |
結論として、1~3年程度の短い期間で乗り換えを考えているなら、残価「率」の観点からガソリン車が有利になる場面があります。一方で、長く乗り続ける、あるいはオフロード走行や牽引など本格的な使い方を想定しているなら、ディーゼル車の底堅い人気と実用性が光ります。
▼提案
もしあなたがリセールを重視してランクルを選ぶなら、「何年後に売るか」を一つの判断基準にしてみてはいかがでしょうか。それに加えて、白や黒といった人気カラーや、ムーンルーフなどの人気オプションを付けておくことも、将来の価値を支える上で有効な手段となりそうです。
なぜガソリンはディーゼルよりも残価率が高いのか
ランクルの残価率が、ガソリン有利な理由は「中古相場を決める主導権が日本ではなく海外輸出需要にあるから」です。
具体的には、ランドクルーザーは国内よりも海外需要の方が高く、その輸出先の条件に、ディーゼルよりもガソリン車が適しています。つまり数の多い海外顧客にはガソリン車の方が人気なので、価格を吊り上げやすいのです。その他にわかりやすい原因として、そもそもガソリン車の方が数十万円安値であることも、残価率が高くなる主因の1つといえます。
▼ランクルのガソリン車を求める輸出先の事情って?:1番大きい原因は「軽油の硫黄含有量」です。日本に流通する軽油の硫黄含有量は「10ppm」。国産車のランクルのディーゼルも、この数値を前提にした設計です。しかし輸出先には50ppm以上の軽油が流通している国もあり、日本のディーゼル車では故障リスクが付きまとってしまいます。さらに、公的には硫黄10ppmを輸入して取り扱っている国もありますが、「高硫黄の軽油の混入問題」が報じられているぐらいには、供給の均一さに懸念が残っています。そのため海外顧客が安心して乗れるランクルが、ガソリン車なんですね。
ランクルのディーゼルvsガソリン【その他】
リセールバリュー以外にも、ガソリンとディーゼルにはそれぞれ得意なこと、苦手なことがあります。維持費や乗り心地など、日々のカーライフに関わる違いを知って、あなたにピッタリの一台を見つけましょう。
ガソリンがディーゼルよりも有利な点
ガソリンエンジンモデルは、特に街乗りがメインの方にとって嬉しいメリットがたくさんあります。
メリット
- 車両価格が安い:ディーゼルモデルに比べて初期費用を抑えられます。
- メンテナンスが比較的ラク:ディーゼル特有の「AdBlue(尿素水)」の補充が不要で、エンジン回りの構造もシンプルです。
- 静かでスムーズ:エンジンの振動や音が静かなので、市街地での運転が快適です。
デメリット
- リッター当たりの走行距離がディーゼルに劣る。
- 燃料単価も高いので、燃費で大きく劣る
- 低速の力強さ(トルク)で劣る:重い荷物を積んだり、急な坂道を登ったりする場面では、ディーゼルに軍配が上がります。
▼手軽な解決の可能性
年間の走行距離が短い方であれば、ガソリン車の燃費のデメリットはあまり気にならないかもしれません。購入時の価格差を考えると、トータルコストでガソリン車がお得になるケースも十分に考えられます。
ガソリンが向いている人
ガソリンエンジンのメリットを最大限に活かせるのは、こんな使い方をする方々です。
- 年間の走行距離が短い(目安:8,000km以下)方
- 運転するのは主に街中という方
- 1~3年での乗り換えを考えている方
- 購入時の初期費用を少しでも抑えたい方
- 静かでスムーズな乗り心地を重視する方
▼オーナー評価傾向
「ランクルは欲しいけど、オフロードは走らないし、静かな方がいい」という方から、ガソリンモデルは高く評価されているようです。特にご家族を乗せる機会が多い場合、その静粛性は大きな魅力となるでしょう。
ディーゼルがガソリンより有利な点
ディーゼルエンジンモデルは、これぞランクル!という力強い走りと経済性が魅力です。
メリット
- 低速からトルクフル:アクセルを踏んだ瞬間から力強く加速し、坂道や悪路、牽引で真価を発揮します。
- 燃費が良い:ガソリン車よりも少ない燃料で長い距離を走れます。
- 燃料(軽油)が安い:日々のランニングコストを抑えることができます。
- 海外での需要が高い:長年乗り続けた後でも、海外市場での人気が価値を支えてくれます。
デメリット
- AdBlue(尿素水)の補充が必要:きれいな排気ガスを保つために、定期的な補充が欠かせません。
- 短距離走行が続くと注意が必要:排気フィルター(DPF)のコンディションを保つため、たまに意識して走らせる配慮が求められます。街乗りばかりだと故障リスクが付きまといます。
- 車両価格が高め:ガソリンモデルに比べて、購入時の価格は高くなる傾向があります。
▼注意点
ディーゼル車は、AdBlueの残量が少なくなると警告が表示され、最終的に残量がゼロになるとエンジンの再始動ができなくなります。こうしたディーゼル特有のメンテナンスについて、事前に少しだけ知識を持っておくと安心して乗ることができるでしょう。
ディーゼルが向いている人
ディーゼルエンジンの頼もしさを実感できるのは、こんな使い方をする方々です。
- 年間の走行距離が長い(目安:10,000km以上)方
- 高速道路や郊外路を走る機会が多い方
- キャンプやボート牽引など、アウトドアでタフに使いたい方
- 一台を長く大切に乗り続けたい方
- 日々の燃料費を少しでも節約したい方
▼車選択ガイドの考察
「せっかくランクルに乗るなら、その性能をフルに使い切りたい!」というアクティブな方には、ディーゼルモデルが最高の相棒になってくれるはずです。長距離を走れば走るほど、その経済的なメリットを実感できるでしょう。
ランクルの維持費については、「もしランクルを年収400万で買ったら維持できない?」をご覧ください。
ランクル:ガソリンvsディーゼル【リセールら比較】の総括
- ランクルでガソリンとディーゼルどっちを選ぶか、リセール比較が1番大きい重要。
- ランクル70はディーゼル専用で、リセールは新車価格を超えるプレミア市場。
- 250や300では短期保有なら、初期費用が安いガソリンの残価「率」が有利な傾向。
- 長期保有や実用性を考えると、実用性の高いディーゼルのリセールが堅調。
- ガソリンのメリットは静粛性と、AdBlue不要など維持管理がシンプルな点。
- 街乗り主体で走行距離が短い人は、静粛性の優れたガソリンエンジンが向いていると言える。
- ディーゼルのメリットは力強いトルク、優れた燃費、そして軽油の安さ。
- 長距離移動やアウトドアでタフに使いたい人は、ディーゼルが最適な選択肢。
- 盗難リスク対策は全モデル共通で、リセールバリュー維持に不可欠な要素。
- 結論として、あなたの乗り方と保有期間で「どっち」が有利か決まる。


