デリカd5ディーゼルのデメリット、購入前にしっかり把握できていますか?
「ミニバン界のSUV」として唯一無二の存在感を放つデリカD:5ですが、アルファードやノア・ヴォクシーといった一般的なミニバンと同じ感覚で選ぶと、「思っていたのと違う…」と後悔してしまうポイントがいくつか存在します。
特にディーゼルエンジン特有の「音」や「メンテナンス」は、ガソリン車とは付き合い方が少し異なります。
しかし、これらは単なる欠点というよりも、悪路を力強く走るための「性格」のようなもの。あらかじめ知っておけば、対策も心の準備も十分に可能です。
この記事では、カタログには書かれていないリアルな注意点を、車に詳しくない方にも分かりやすく解説します。
【この記事でわかること】
- ディーゼル特有の「音・振動」と「燃費」の現実
- AdBlue(尿素水)やDPFなど、維持に必要な手間
- 「ちょい乗り」メインの人が注意すべき故障リスク
- あなたがデリカD:5を買って「幸せになれる人」かどうか
※この記事の情報は、2025年12月01日時点の調査データに基づいて作成しています。
デリカD5ディーゼルのデメリット6選【早見表】
「アウトドア最強のミニバン」として名高いデリカD:5ですが、普通のミニバンと同じ感覚で選ぶと、「あれ、ちょっと違うかも?」と感じてしまうポイントがいくつか存在します。
まずは、代表的な6つの注意点を一覧表にまとめました。ご自身のライフスタイルと照らし合わせて、許容できる範囲かどうかをチェックしてみてください。
| 項目 | 内容と懸念点 |
|---|---|
| ①音・振動 | 始動時や低速時に「カラカラ」というディーゼル音が聞こえる。静粛性重視の人には気になるレベル。 |
| ②実燃費 | カタログ値に近いものの、街乗りでは8〜10km/L前後。最新ハイブリッド車ほどの低燃費ではない。 |
| ③AdBlue | 約1,000kmごとに1L消費する尿素水の補充が必要。タンク残量を気にする手間が増える。 |
| ④DPF再生 | 短距離走行ばかりだとフィルター(DPF)が詰まりやすく、故障や警告灯のリスクが高まる。 |
| ⑤寒冷地性能 | エンジンが温まりにくく、冬場の暖房の効き出しが遅い。軽油の凍結対策も必要。 |
| ⑥維持・整備 | 構造が複雑で部品点数も多い。指定オイルやフィルター交換など、こまめな管理が必須。 |
この表を見て「なんだ、大したことない」と思われた方は、デリカとの相性が非常に良い可能性があります。逆に、「今の車はガソリンを入れるだけで走るのに、尿素水?フィルター掃除?」と面倒に感じた方は要注意かもしれません。
デリカD:5は、便利な家電のような車(ただ乗るだけで快適)というより、少し手のかかる「相棒」のような側面を持っています。この「手間」を愛着と捉えられるか、単なるストレスと捉えるかが、満足度の分かれ道になりそうです。
※本記事は執筆時点(2025年12月1日)の情報に基づきます。
※燃費や維持費は走行環境や運転方法により大きく異なります。
※詳細なスペックや最新情報は必ずデリカD:5公式サイトをご確認ください
デリカD5ディーゼルの欠点・弱点を深掘り
先ほどの早見表で挙げた6つのポイントについて、実際にオーナーさんがどう感じているのか、現場の声や仕組みを交えて詳しく見ていきましょう。
うるさい?音と振動の評価
現行デリカD:5は、旧型に比べて大幅に静粛性が向上していますが、それでも「ディーゼルエンジンである」という事実は変わりません。
- 始動直後の音:特に冬場の朝など、エンジンが冷えている時は「ガラガラ」「カラカラ」という音が目立ちます。
- 低速時の唸り:信号待ちからの発進時(0〜20km/h)に、重い車体を動かすための力強い音が室内に入ってくることがあります。
普段からトラックやディーゼル車に乗り慣れている人には「静かになった」と高評価ですが、ハイブリッドのミニバン(アルファードやノア・ヴォクシーなど)の無音に近い感覚を期待していると、「思ったよりうるさい」とギャップを感じてしまうことが多いようです。
燃費悪い?実燃費の現実
「ディーゼル=軽油が安くて燃費が良いからお得」というイメージがありますが、デリカD:5の場合は少し事情が異なります。
- 実燃費の目安:街乗りメインだと7〜10km/L程度、高速道路をゆったり走ると10〜13km/L前後というケースが多いです。条件が良いと15km/L前後まで伸びる報告もありますが、「いつも12〜15km/L出る」というよりは、好条件時の上振れと考えておいた方が現実的です。最新のハイブリッドミニバンが叩き出すリッター20kmクラスには及びません。
- 車両価格:エントリーグレードでも400万円オーバー、乗り出しで500万円を超えることも珍しくありません。
年間走行距離が5,000km〜7,000km程度と少ない場合、燃料代の差額だけで車両価格の高さ(ガソリン車との差額)を取り戻すのは難しいのが現実です。「経済性」だけを理由に選ぶと、思ったより節約にならない可能性があります。
アドブルー補充の手間と費用
今のクリーンディーゼル車には、排気ガスをきれいにするための「AdBlue(アドブルー)」という液体を入れる専用のタンクがあります。
- 消費ペース:約1,000km走ると1リットル減ります。
- 補充頻度:タンク容量は約16リットルなので、だいたい1万km〜1.5万kmごとの補充が必要です。
- 補充費用:ディーラー補充で7000~8000円前後
ガソリンスタンドやディーラーで補充できますが、「ガソリン以外の液体も管理しないといけない」というのは、地味なストレスになることがあります。
AdBlueは残量が少なくなるとメーターに警告が表示され、それでも補充せずに走り続けると、最終的に「エンジン再始動禁止」の制御がかかります。この状態になると、AdBlueを補充したうえで販売店でリセット作業をしてもらうまでエンジンをかけられません。そのため「警告が点いたら余裕のあるタイミングで早めに補充する」ことが大切です。
ちょい乗り注意!DPF故障リスク
ここが一番の注意点かもしれません。ディーゼル車には、排ガス中のススを取り除く「DPF」というフィルターが付いています。このフィルターは、ある程度ススがたまると、エンジンの熱で自動的にススを焼き切る(再生する)機能を持っています。
しかし、近所のスーパーへの買い物や、子供の送迎(片道10分以内)ばかりを繰り返していると、エンジンが十分に温まらず、DPF再生がしっかりと機能せずに、ススを焼き切ることができません。
より具体的には、エンジン水温計が真ん中あたりまで上がり切る前にエンジンを切ってしまうような短距離走行を繰り返すと、再生が終わらずすすが溜まりやすいです。
結果としてフィルターが目詰まりを起こし、警告灯が点灯したり、最悪の場合は修理が必要になったりします。実際にDPF詰まりによる整備が必要になった事例も報告されています。
デリカD:5のディーゼルは人間に飼われている動物のようなもので、室内で歩くだけでなく、たまには思いっきり走らせて汗をかかないと調子を崩してしまうのです。
暖房が遅い?寒冷地の弱点
一般的にディーゼルエンジンはガソリン車に比べると水温の立ち上がりが遅く、そのぶん「しっかり暖かくなるまでの時間」は長めです。
デリカD:5の場合は、エンジン水温が低い時に電気ヒーター(PTCヒーター/スタートアップヒーター)が補助してくれるため、始動直後から冷風しか出ないわけではありませんが、ガソリン車と比べると「車内全体が十分に暖まるまでの時間はやや長い」というイメージです。
その熱を利用する暖房(ヒーター)も、効き始めるまでに少しタイムラグがあります。シートヒーターやステアリングヒーターなどの装備があれば快適ですが、真冬の朝、エンジンをかけてすぐに温風が出てくることを期待すると、「寒い!」と感じる時間が長く感じるかもしれません。
壊れやすい?繊細なメンテ必須
昔のディーゼルエンジンは「頑丈で壊れない」というイメージでしたが、現代のクリーンディーゼルは精密機械の塊です。
- オイル交換:ススを抱え込むため、汚れやすいです。指定のオイルを適切な時期に交換しないと、エンジンの寿命を縮めます。
- フィルター類:燃料フィルターなども定期的な交換が必要です。(「三菱は4万5000kmごとに定期交換」などと案内しています)
「車検までボンネットを開けたことがない」「オイル交換はいつも格安店で一番安いものを入れている」といったズボラな管理だと、思わぬトラブルを招く可能性があります。
「DPFが詰まるのが怖いからデリカはやめる」と考えるのは少し早計かもしれません。
実は、DPF再生が必要な状態になっても、週末に30分ほど郊外のバイパスや高速道路を気持ちよく走らせてあげれば、大抵の場合はきれいに再生されます。
大切なのは「毎日5分の移動だけ」という生活が何ヶ月も続かないようにすること。「たまには遠出しようか」という動機付けをくれる車だと考えれば、家族でのドライブが増えるきっかけになるかもしれません。
※各部品の交換時期や費用は、ディーラーや整備工場によって異なります。
※AdBlueの価格は変動する可能性があります。
※不具合を感じた際は、自己判断せず速やかに販売店やデリカD:5公式サイトへご確認ください
デリカD5ディーゼルで後悔する人・しない人
ここまでデメリットを中心にお伝えしてきましたが、これらは裏を返せば「タフな性能の証」でもあります。では、具体的にどんな人が後悔しやすく、どんな人なら満足できるのでしょうか。
短距離・街乗り派は後悔する
- 平日も休日も、短距離の移動(数km圏内)がメインの人
DPFの詰まりリスクが高く、燃費のメリットも出にくいため、ディーゼルの恩恵を受けにくいです。 - ミニバンに「リビングのような静かさ」を求める人
停車中のアイドリング音や発進時の振動がストレスになる可能性があります。 - 車のメンテナンスは全て人任せ、極力関わりたくない人
AdBlueの補充や警告灯の管理を「面倒くさい」と感じる場合、所有することが負担になるかもしれません。
アウトドア派は寿命まで愛せる
- アウトドアや長距離ドライブが趣味の人
高速道路での安定感、悪路での頼もしさは唯一無二です。長距離を走るほど燃費も伸び、コストメリットが出ます。 - 「車を操っている感覚」が好きな人
トルクフルな加速感や、しっかりとした足回りは、運転好きを満足させるフィーリングを持っています。 - 多少の手間を「相棒の世話」として楽しめる人
機械としての機構が複雑であることを理解し、適切なメンテをして長く乗ろうという意識がある人には、最高のパートナーになります。
多くのミニバンが「家族のための快適な移動空間」を目指して進化する中で、デリカD:5だけは「家族を乗せて、どこへでも(道なき道でも)行けるギア」として進化してきました。
もし迷っているなら、比較対象を「ノアやセレナ」にするのではなく、「ランドクルーザープラド等のSUV」と比較してみるとしっくり来るかもしれません。
「スライドドアが付いたSUV」と考えれば、多少の音やメンテの手間も「本格派の証」として愛おしく思えるはずです。
※ここに記載した適合性は一般的な傾向であり、個人の感じ方を保証するものではありません。
※実際の購入検討時は、必ず試乗を行い、ご自身の感覚で音や振動を確認してください。(デリカD:5公式サイト)
補足:デリカD5ディーゼルは壊れやすい?【寿命】
結論からいうと、デリカD5ディーゼルの寿命は長い部類と考えていいと思われます。根拠として20万キロ以上走っている実例を多く見つけることができ、「10万キロで寿命」ではなくメンテさえしていれば長く付き合っていくことができるイメージです。
さらにはデリカD5の海外の悪路国(アフリカなど)でも、デリカD5ディーゼルが使われており、耐久性や走破性を高く評価されているようです。
つまり、寿命は長い方という見方が出来る一方で、
「オイル交換やアドブルーやDPF再生に気を配ったうえで、変な音や警告灯が出たらすぐに整備工場に相談する」ができる人には長寿命
「ほぼ毎日片道5分10分の送迎通勤メインで、メンテは全部お任せで、警告灯が出てもちょっとぐらい大丈夫だろうと放置しがち」な人には壊れやすい車。
